□社会性の発達
▷仲間関係の発達
子どもにとって同年齢の仲間と遊ぶ経験は重要であり、対等な仲間との競争や協同を含んだ関係によって,子どもは友達との付き合い方や社会のルールを学ぶ。 仲間関係を通していろいろな他者と自分とを比較し,自分の性格や能力を知り自分に対する認識を深めていく。相手との助け合いから,共感性を持ち相手の気持ちを理解することも経験する。これは他人を思いやる心につながる。 少数の相手とでも親密な人間関係を経験してきた子どもは人と交わることに積極的で,それは友人,夫婦,同僚関係など大人になってからも大切なことなのである。仲間関係の発達をみてみよう。 生まれてからしばらくの間は養育者との関係が中心になるが、次第に子どもは他の子どもとの遊びを楽しむようになっていく。
社会的遊びの発達的分類でみていくと、一人遊びから徐々に仲間との遊びにはいっていく。 並行遊び優位から連合遊び優位になるのは4, 5歳頃である。 ただ, この年齢の幼児がいつも仲間と遊んでいるというわけではなく, 時には一人遊びを楽しみながらも, だんだんと仲間と遊ぶ機会が増えていくということである。 この社会的遊びを行なっていくことで、幼児の社会性が育まれていく。
◇幼児の社会的遊び
◻︎なににも専念していない行動
周りの何にも興味を示さず、ただ自分の身体に関わる遊びだけをしている。
◻︎傍観
他児が遊ぶのをそばで見ていて、ときどき話しかけたりする。
◻︎一人遊び
他児の近くで遊んでいても、話しかけたりして交渉することなく、お互いに別々の遊びに専念している。
◻︎並行活動または並行遊び
他児のそばで同じようなおもちゃで遊んでいる。おもちゃの貸し借りや会話はするが、他児が立ち去っても無関心である。
◻︎連合遊び
子供同士が同じ一つの遊びをし、おもちゃの貸し借りやその遊びに関する会話などが行われる。
◻︎相補的組織遊びまたは共同遊び
共通の目標に向けて組織され統制された集団が作られ、1人が2人のリーダーがいる。はっきりとした組織への所属感があり、異なる役割を分担し、お互いに補い合って一つの目標に向かうという分業が行われる。
□コミュニケーションの発達
言語にはコミュニケーションの道具としての伝達機能がある。 ピアジェは幼児の発話の特徴として, 自己中心的発話をあげている。
自己中心的な発話は反復·ひとりごと·集団的ひとりごとを含んでおり、いずれも伝達の意図はない。 ピアジュは自己中心的な言語が次第に社会化されていく中で, 他者への伝達を目的とした社会的言語が発達すると考えた。 しかしロシアの心理学者ヴィゴツキーは, 何らかの課題解決中に子どものひとりごとが増加することに注目した。 大人は, 内的な発話 (内言) を用いて思考する。 彼は, 子どもの自己中心的発話も, 思考の道具としての内言の機能を持つと考えた。
ヴィゴツキーは, 自己中心的発話を, ピアジェのいうように非社会的なものではなく,社会的言語である外言から内言への過渡期にあるもの,形は外言であるが機能は思考の手段としての内言と同様のものと位置づけている。