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パターン認知

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    文字や人の顔などを見たとき、それが何であるかを認識することをパターン認知という。たとえば、「あ」という文字を見て「あ」とわかるためには、形を知覚するだけではなく,入力された形が記憶の中にある文字情報の形と照合されなければならない。しかも,大きさや傾きなどが異なっていても、すべて「あ」と認識されるのである。このパターン認知については、仕組みを説明するために、いくつかのモデルが提案されている。 鋳型照合モデルでは、外界のあらゆる刺激に対して、その刺激のパターンに関する鋳型が記憶内に存在すると考えられている。刺激が入ってくるとそれぞれの鋳型との照合がなされ、ぴったりと合ったパターンが認知される。しかし、鋳型照合モデルでは、同じ文字でも異なった字体で書かれていたり、向きが変わると異なった刺激パターンとみなされる。これらすべてに対応した鋳型があると考えると、その数は膨大なものになってしまう。したがって、人間の複雑なパターン認知のモデルとしてはあまり現実的ではないといえる。

 特徴分析モデルでは、複数段階の処理が仮定されている。入力された刺激パターンは、 まずどのような特徴を持っているかという分析を受け、次にそれらの特徴を統合して記憶との照合がなされ、最終的に1つの認識がなされる。 このモデルの代表的なものにパンデモニアム·モデルがある。パンデモニアムとは、デーモンと呼ばれる悪魔が住む館のことである。それぞれのデーモンは、各段階の処理を分担して行っている。

 第1段階のイメージ·デーモンは、入力したパターンを記録し短時間保持する。 第2段階の特徴デーモンは, 記憶したパターンのイメージから、特定の特徴を探し出す。垂直線や曲線、角度などがあるかないか、あるとすればその数はいくつかなどを検出する。第3段階の認知デーモンは、1つのパターンの認知に責任を持っている。認知デーモンは特徴デーモンの反応を監視し、自分が担当するパターンの特徴を発見すると叫び声をあげる。多くの特徴を発見すればするほど、それだけ大きな声で叫ぶ。最終段階の決定デーモンは、一番大きな叫び声をあげている認知デーモンのパターンを決定するのである。

 特徴分析モデルでは、検出されるべき特徴をどのようにとらえるかということが問題になる。特徴といっても、非常に単純なレベルから複雑なレベルまで、その幅は広くさまざまだからである。また最近の特徴分析モデルは、プログラミング化され、コンピュータで人間の認知の様子がシミュレートされている。

 

ex.変な文字入力