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道徳性の発達

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◇道徳性の発達

 善悪の判断である道徳性がどのように発達するかについては、前述したピアジェや、道徳性の研究者コールバーグは、認知発達の水準が関わっていると考えた。

 ピアジェは、行為の意図や動機はよいが結果的に大きな損害をもたらす場合(病気の母親を手伝おうとしてお皿を15枚割ってしまった) と、損害は小さいが動機や意図はよくない場合(こっそりおやつを食べようとしてお皿を1枚割ってしまった)とでは、どちらが悪いと思うかというような質問をした。 その結果、7歳頃までは、行為の結果にもとづいて判断する結果論的判断(15枚割ったほうが悪い)が多いが、その後行為の動機にもとづいて判断する動機論的判断へと移行することを明らかにしている。さらに大人の権威に服従し、規則を、一方的に尊敬すべきもの、拘束的なものととらえる他律の道徳から、仲間相互の協同と相互的尊敬によって規則は運用するものと考える自律の道徳へと進むことも明らかにした (荒木, 1989)。

 コールバーグは、道徳的な葛藤が起こるような場面の物語を聞かせて、その反応を分析し詳細な発達段階を示している。 ここでは、答が肯定、否定に関わらず、その理由が分析される。同じ言動をしていても、人によって理由の違うことがあり、そこには認知の水準が反映すると考えられるのである。 ただ道徳性は文化と関わりの深い概念であるため、この発達段階が文化を越えて普遍的に適用できるかどうかの問題は生じる。