気分一致効果(mood congruent effect)
ポイント
気分一致効果は、覚えるときや思い出すときの気分と、記憶材料の感情価とが一致している場合に、不一致の場合と比べて、覚えやすくあるいは思い出しやすくなって、記憶成績がよくなる現象のことをさしている。たとえば、学習時の気分一致の影響を調べたものとして,バウアーとコーエン (1982) の研究があげられる。そこでは、被験者が、催眠法によって楽しい気分か悲しい気分のいずれかに誘導された状態で物語を読み、次の日に自然な状態で再生が求められた。 その物語には2人の人物が登場するが、1人は幸せな人物として、他の1人は不幸な人物として描かれていた。物語の再生結果をみると、物語を読んだときの気分と一致するほうの登場人物に関する事実を、より多く思い出していることが明らかである。
確認問題
[1]
感情が生起しているときには、その感情と一致する記憶を想起しやすいという現象を何と呼ぶか。最も適切なものを一つ選びなさい。
1 感情(気分)一致効果
2ガルシア効果
3 抑圧効果
4アンダーマイニング効果
5 新近効果
(帝京平成大学大学院 臨床心理学研究科 臨床心理学専攻)
[2]
情動と記憶、思考の関係について述べなさい。
(青山学院大学大学院 教育人間科学研究科 心理学専攻 臨床心理学コース)
解答
[1]
1
[2]
情動と記憶や思考は密接に関連していると考えられる。それを示す現象として気分一致効果があげられる。これによると、楽しい気分ときは楽しい出来事を思い出したり、物事をポジティブに考えるが、悲しい気分は悲しい出来事を思い出したり、物事をネガティブに考える。このように良い気分のときには良い情報が、悪い気分のときには悪い情報が選択され、処理されることから、情動助は記憶や思考に多大な影響を及ぼしているといえるだろう。