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青年期の発達課題

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エリクソンは,対人や社会との関係から発達段階を考え,各時点に固有の心理·社会的危機を設定した。それぞ れの危機は「信頼対不信」というような葛藤状況にあり,各段階でそれらを克服していくことによって,基本的な自己認識が獲得されるとしている。したがって葛藤をいかに解決していくかということは,ある意味では発達課題ともいえる。 エリクソンによると,青年期の発達課題は自我同一性(アイデン ティティ)の形成である。自我同一性の概念とは「自分は自分であり,他の誰でもない。自分は以前からも自分であるし,これからも変わらない」という意識を持ち,あるがままの自分を受容し自分らしさを形成していくことである。 自己の発達はこ のアイデンティティ確立への過程であるといえる。 同一性がうまく達成されないと 「自分が誰なのか、 何をしたいのかわからない」 という同一性拡散に陥る。 同一性は, 自分の能力を試したり自己についてのさまざまな役割を試みたりしながら,次第に自分を知る過程で達成されていく。エリクソンは, 青年期とは, 同一性形成のために社会的な義務や責任を猶予されている時期 (モラトリアム) だとしている。 青年期に達成された自我同一性は, その後の人生の中で種々の経験をすることによって修正され, 次第に確固としたものになっていく。