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知能(Spearman,C.E. / Thurstone,L.L./ Gardner,H./ Cattel,R./ Joy Paul Guilford)

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ポイント 

スピアマン(Spearman,C.E. ) /  二因子説

スピアマン(Spearman,C.E. )は知能について2因子説を提唱した。知能は、いわゆる才能であり、あらゆる学科の成績に寄与する全般的な知的能力である一般因子(共通因子・g因子)と、個別の知的課題への特有の知的能力であり、個別の科目の得手・不得手に相当するものが特殊因子(s因子)の2つから成るとした。

 

サーストン(Thurstone,L.L.)/  多因子説

サーストン(Thurstone,L.L.)は多因子説を提唱した。彼の因子分析の結果からは一般因子の存在は認められず、複数の基本的因子のみを見出した。知能は7つの因子から構成されており、基本的な7つの知能因子は、言語(V)、語の流暢性(W)、空間(S)、数(N)、記憶(M)、機能的推理(I)、知覚(P)である。実際の課題の遂行時にはこれらの因子の中から必要なものが組み合わされて用いられる。サーストンの多因子説はのちにアメリカのガードナー(Gardner,H.)によって多重知能説として発展する。

 

 

ガードナー(Gardner,H.)/  多重知能理論

 

ガードナーは多重知能理論を提唱した。

文化的状況の中での知能に注目して、複数の独立したモジュールからなる知能の構成体を考え、それを多重知能と呼んだ。

ガードナーによると知能は、個々に独立した①言語的知能②論理・数学的知能③空間的知能④音楽的知能⑤身体・運動的知能⑥内省的知能⑦対人的知能からなるとした。

  

 

キャッテル(Cattel,R.)/  結晶性知能・流動性知能

キャッテル(Cattel,R.)は結晶性知能(crystalized intelligence)と流動性知能(fluid intelligence)を提唱した。

流動的知能は作動記憶の素早さに依存しており、新しい環境に適応するための問題解決能力である。記憶・計算・図形・推理などの抽象的課題の遂行に現れる。文化・教育といった経験の影響が少ない。30歳代頃にピークに達し60歳までは持続されるが、それ以降、加齢に伴い急速に衰退する。

結晶性知能は流動性知能を基礎としつつも、経験や学習によって後天的に形成される一般的能力である。一般的知能、判断力、理解力といった、経験の結果として結晶する知能をさす。文化や教育の影響を受けるため、60歳くらいまで上昇し、その後の加齢による衰えはあるが、穏やかである。

 

ギルフォード(Gilford, J.P.)/  構造理論・収東的思考・拡散的思考

知能は、知能の働きを意味する「操作」、どんな情報を処理するかを意味する「内容」、そしてある「内容」になんらかの「操作」をした時に得られる結果を意味する「所産」の3つの側面から構成されると考えた。

なお、「操作」のカテゴリーに属するものとして、収束的思考と拡散的思考がある。

収束的思考(convergent thinking)は既知の情報から論理的に思考や推論を進めていき、唯一の正解に正しくそして早く到達するための思考。

拡散的思考(divergent thinking)は既知の情報から様々に考えを拡散させ、新たな物を生み出していく思考。創造性と関連があるといわれている。

 

確認問題

 [1]

括弧に入る最も適切な語句を答えなさい。

知能因子の研究において、Spearmanは知能の(1)説を、Thurstoneは(2)説を提唱した。今日の知能検査論において主流となりつつある理論は、(3)によって提唱された、判断力や習慣といった(4)知能と、新しい場面での学習に関する(5)知能のニ分法である。 

法政大学大学院 人間社会研究科 臨床心理学専攻)

 

[2] 

知能の加齢研究について知るところを述べよ。

大阪市立大学大学院 生活科学研究科 生活科学専攻 臨床心理学コース)

 

[3]

次の用語を簡単に説明しなさい。

・収東的思考(convergent thinking)

・拡散的思考(divergent thinking)

学習院大学大学院 人文科学研究科 臨床心理学専攻)

 

[4]

次の概念に最も関連の深い人物をカッコ内より選びなさい。

・多重知能理論

[Gardner, H.  Coles, R.  Lepper,M.R.  Ames,C.]

 

 

 

 

解答

 

[1]

1、二因子

2、多因子

3、キャッテル

4、結晶性

5、流動性

 

[2]

 これまで知能は幼児期、学童期、青年期と発達し、20歳代でピークに達したあとは低下すると考えられてきたが近年流動性知能と結晶性知能の研究が進む中で、知能は従来考えられてきたほど急速に衰えないということが示唆されてきた。具体的には、流動性知能は30歳歳代にピークに達したあと60歳ごろまでは維持され、その後以降は急速に低下し、一方、結晶性知能は60歳ごろまで徐々に上昇し、その後は緩やかに低下していくことがシャイエの調査などによって明らかにされた。この結果から、確かに知能の種類によってピークの年齢や減退のスピードは異なるものの、中年期以降まで知能は維持されることが示唆される。

 

[3]

収束的思考(convergent thinking)は既知の情報から論理的に思考や推論を進めていき、唯一の正解に正しくそして早く到達するための思考。

拡散的思考(divergent thinking)は既知の情報から様々に考えを拡散させ、新たな物を生み出していく思考。創造性と関連があるといわれている。

 

 

[4]

 Gardner, H.

 

 

<参考文献> 

 

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