ポイント
心理学的な研究法によって開発された性格検査にはいろいろなものがあるが、おおまかに分けると、質問紙法、作業検査法、投影法の3種になる。それぞれに長所と短所があるので、それらをよく知っておく必要がある。
質問紙法
質問紙法は、人格目録法とも呼ばれ、もっともよく利用されている。それは、検査の構成や使用法が誰にでもよく分かるからである。これは前節で述べた特性論の立場に立ち、それぞれの特性についての質問が数多く用意され,「はい」「いいえ」の2件法、またはそれに「どちらでもない」を加えた3件法で答えさせる性格検査である。長所は、多数の回答者に対し一度に実施できるので実施が容易である。また回答者の心理的負担が比較的小さい。短所は、回答者の言語的理解力に依存する。また、無意識的・意識的な回答の歪曲がありうることや回答者が意識していないことは測定できないといった点が挙げられる。
代表的なものとしては、矢田部·ギルフォード性格検査(Y ーG性格検査)、本明·ギルフォード性格検査(M-G性格検査)、ミネソタ多面性人格目録(MMPI)、テイラーの顕在性不安検査(MAS)などがある。
矢田部·ギルフォード性格検査を例にして、その構成を示す。12個の特性につき、それぞれ10個ずつの質問が配列されている。特性を示す反応の数によって、その人の性格の特徴が表される。この質問紙法は、期間をおいて再度実施したときの相関 (再検査法信頼性)が比較的高く、安定した結果が得られることや、実施が簡単なことが長所である。 しかし,回答者が虚偽の反応をしても分からないことがその短所である。これを防ぐために、社会的望ましさが等しい選択肢を設けて選ばせるという工夫や、離れた位置に再度同じ質問項目を置き、回答が一致しているかどうかを調べる方法が採用されることがある。
確認問題
[1]
括弧に入る最も適切な語句を答えなさい。
(1)検査は、A型、B型、C型、D型、E型の類型レベルで判定をされる。
(帝塚山学院大学大学院 人間科学研究科 臨床心理専攻)
[2]
正しい組み合わせを選びなさい。
a 内田クレペリン精神検査-質問紙法
b YG(矢田部ギルフォード)性格検査-作業検査法
c ロールシャッハ・テスト-投影法
d MMPI(ミネソタ多面人格目録)-作業検査法
e WAIS(ウェクスラー成人知能検査)-投影法
(駒沢女子大学大学院 人文科学研究科 臨床心理学専攻)
[3]
性格検査の質問紙法について、長所、短所を述べなさい。
(静岡大学大学院 人文社会科学研究科 臨床人間科学専攻)
解答
[1]
1、Y-G性格検査
[2]
c
[3]
質問紙法の長所は、集団での実施が容易なことや集計や分析の行いやすさである。一方、短所は、意識レベルの回答しか得られない点や意図的に虚偽の回答をすることができることである。