ポイント
コミュニティ
人間が、それに対して何らかの帰属意識を持ち、かつ構成メンバーの間に一定の連帯ないし相互扶助の意識が働いているような集団。(地理的なコミュニティだけでなく、教育機関での教育支援活動、企業での組織行動や職場環境、対人援助の実施主体、インターネットを通した社会活動といったものから、個々のつながりが生まれる心理的なコミュニティまで幅広く含む)
心理的コミュニティ感覚
他者との類似性や相互依存的な関係性の認識、またその関係性を維持するために自身が他者からしてもらいたいことを率先して行う意思、そして自身が依存可能で安定した大きな構造の一部であるという感覚(現代社会で最も欠如している可能性が高い感覚)
地域援助
地域援助とは、コミュニティに働きかけて、心の安全や予防を図る活動・実践のことである。理論背景には、予防精神医学、精神保健学、コミュニティ心理学がある。
コミュニティ心理学
コミュニティにおける心理社会的問題の解決と予防を課題とした実践学。人と環境の適合性を高めるために環境及び個人の両面に働きかける方法を開発するアプローチである。具体的には、危機介入、コンサルテーション、リエゾンといった活動を通してコミュニティや社会システムに変化をもたらし、人々の生活の質の向上と問題発生の予防を目指す。
コミュニティ心理学の7つの中核概念
個人と環境の適合
環境の中で生活する個人を尊重しつつ、個人にとって住みやすい環境を目指すことを重視する。
生態学的アプローチ
ブロンフェンブレナー,U.の生態学的システム論。 a)ミクロレベル、b)メゾ・レベル、c)エクソレベル、d)マクロレベルの4つの生態学的レベルから捉える。
エンパワメント
個人・組織コミュニティがそれぞれの生活を統制できる過程であり、メカニズム。
・自治の精神に基づいて、受動的な存在でなく自分たちの問題を自分たちで能動的に変えていこうとし、しかも変化させていくための資源を周りから引き出すために自発的に参加し自己決定していくという発想。
協働
さまざまな臨床現場で続出している困難な問題に対して、その解決が一人の専門家の力量だけでは不可能である状況を踏まえて、様々な専門家、時には非専門家も交えて、積極的で生産的な相互交流や相互対話を重ねながら、共通の目標や見通しを確認し、問題解決に必要な社会資源を共有し、必要ならば新たに資源や社会システムを開発する活動。
コミュニティ感覚
a)他者との類似性の認知、b)他者との相互依存関係の承認、c)他者が期待するものを与えたり自分が期待するものを他者から得たりして相互依存関係を積極的に維持しようとする感覚、d)自分はある大きな依存可能な安定した構造の一部分であるという感覚。
コンサルテーション
コンサルテーション関係が成り立つ基本的特徴は、a)異なる専門領域の人々との間で行われる対等な支援関係、b)始まりと終わりがはっきりりしている関係、c)組織内のコンサルティと組織外のコンサルタントとの関係、d)クライエントの問題中心で成り立つ関係。
予防一危機介入一後方支援による円環的支援
・予防:a)普遍的予防(リスク状態になる前に、安価で母集団から受け入れやすくリスクの少ない支援を行う)b)選択的予防(生物・心理・社会的リスク要因があり放置すると問題が起こる可能性がある場合に行う)、c)指示的予防(精神障害の徴候を持つ人に対して発症を遅らせることもできる支援を行う)。
・危機介入:危機状態をアセスメントした上で、援助・介入計画を立て、モニタリングをして評価する一連の支援を行う。
キャプラン(Caplan, G.)による予防の3段階
一次予防
精神疾患や問題の発生予防と発生減少のことをさす。具体的には、職場におけるメンタル不調者が出ない環境づくりやストレスチェックなどである。
二次予防
精神疾患や問題の早期発見と早期治療。具体的には、職場におけるメンタル不調者の早期発見プログラムなどがある。
三次予防
精神疾患や問題の再発予防と社会復帰促進をさす。具体的には、メンタル不調者の職場復帰のサポート体制、リハビリテーションなどがある。
確認問題
[1]
地域メンタルヘルス運動の原理は、公衆衛生プログラムからきたものが多い。具体的には、公衆衛生プログラムと地域メンタルヘルスプログラムには三つの共通した予防に関する考え方がある。第一予防(発生させない)、第二予防(慢性化させない)、第三予防(再発させない)である。リハビリテーションセンターは、次のうちどのタイプの予防に当たりますか。適切なものを一つ選びなさい。
1、第一
2、第二
3、第三
4、上記全て
5、上記1、2、3以外
(帝京平成大学大学院 臨床心理学研究科 臨床心理学専攻)
解答
[1]
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