錯覚(illusion)
ポイント
知覚経験つまり物理的に存在している刺激を、本来の形とは食い違った形で知覚すること。視覚における錯覚を錯視(optical illusion)と言う。一方、幻覚(hallucination)の場合は物理的に存在しない刺激を、存在するかのように知覚することである。
幾何学的錯視ではミュラー・リヤー錯視(Müller-Lyer, F. C.)、顔認知に関する錯視ではサッチャー錯視が有名である。
ポゲンドルフ錯視(ポゲンドルフさくし)とは、水平線・垂直線と斜線の関係についての錯視である。ポゲンドルフは、カール・フリードリッヒ・ツェルナーがツェルナー錯視を報告した1860年の図案に、この錯視があることを発見した。
エイムズの部屋は、錯視を起こす歪んだ部屋。ヘルマン・フォン・ヘルムホルツの著作の影響もあるが、 1946年にアメリカの科学者アデルバート・エイムズ・ジュニア(英語版)により発明され、翌年に作られた。
確認問題
[1]
次の語句を簡単に説明しなさい。
・錯覚
(兵庫教育大学大学院 学校教育研究科 人間発達教育専攻 改題)
[2]
顔の倒立効果について説明しなさい。
(名古屋市立大学大学院 人間文化研究科 人間文化専攻)
[3]
下記の用語について簡潔に説明しなさい。
・optical illusion
(静岡大学大学院 人文社会科学研究科 臨床人間科学専攻)
[4]
次の人名のうち、錯視と関わりのないものはどれか、もっとも適切なものを一つ選びなさい。
1. Ames 2. Cajal 3. Maller-Lyer 4. Poggendorf
(静岡大学大学院 人文社会科学研究科 臨床人間科学専攻)
解答
[1]
物理的に存在している刺激を、本来の形とは食い違った形で知覚すること。
[2]
サッチャー錯視について記述する。これは、顔認知に関する錯視。上下を反転させた倒立顔においては、目や鼻といった個別バーツの特徴的変化の把握が困難になる現象のこと。同一の変化は、正立顔では簡単に把握できる。顔の知覚は他の物体とは異なる特殊な処理が行われていると考えられる。正立顔では、全体的処理(顔にある個々の特徴の構造的な関係の処理)と同様に個々の特徴を処理するが、倒立顔においては、全体的処理が困難になりそれとともに、個別バーツの小さな変化が検出できなくなると考えられている。
[3]
物理的に存在している刺激を、本来の形とは食い違った形で知覚すること。視覚における錯覚を錯視と言う。
[4]
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