行動療法(behavior therapy)/ 認知行動療法の第1世代
ポイント
行動療法とは不適切な行動を変容する目的で実験的に確認された学習の諸原理を応用し、不適応行動を減弱・消去するとともに、適応行動を触発・強化する方法である。つまり、行動療法は、学習理論などにおける心理学の成果を応用しており、エビデンス(実証性)を基盤としている。また、行動療法は人の不適応状態を適切な学習の未学習、あるいは間違った学習によるものだと考える。 適切な学習を行ったり、間違った学習を消去し、適切な学習を行うことで不適応症状は消失する。
行動療法は認知行動療法の第一世代と考えられる。
代表的な技法
系統的脱感作法
エクスポージャー
応用行動分析
その他の主な技法
モデリング
行動リハーサル
セラピストからのフィードバックを受けて行動を調整するセラビストとクライエントとの間でストレス対処などの行動のリハーサルを行う。
漸進的筋弛緩法
神経生理学者ジェイコブソンが開発したリラクセーション法であり、銃めの緊張を順番に緩めていく方法である。例えば、肩をすばめて力を入れて1秒間緊張させた後に一気に力を抜き、その部位立を20秒間弛緩させる。した練習を通じてリラックスの感覚を手に入れるだけでなく、筋地緩を行ちずにリラックスできるようになる。
バイオフィードバック
Miller, Neal. E.は、アメリカの心理学者で、動物実験により、バイオフィードバックの基礎を築いた。 バイオフィードバックは、人間の不随意筋の働きによる心拍のような通常では自覚・制御が難しい現象を、センサー等により検出して人間が感覚できる音や光などに変換し対象者に自覚させるフィードバック、および、その利用によりそういった現象を意識的に制御する技術、技法である。 生体自己制御ともいう。
シェイピング法
新しい行動を獲得するときに、その行動をスモールステップに分けて、簡単にできるところから順に形成していく方法を「シェイピング技法」 という。
自律訓練法
呼吸法
リラクセーション法の一種であり、胸式呼吸ではなく緊張を緩める作用をもつ腹式呼吸を主に使いながら呼吸をする。吸うときに緊張をし、吐くときに緊張が緩むため、基本は4秒で吸って6秒で吐く。その他の秒数を使うことも多い。
トークンエコノミー法
こどもの学習行動を増やすために、宿題や計算課題、漢字の書き取りなどを一定時間行うたびにスタンプを押し、一定量のスタンプを集めると好きなお菓子をもらえたり、遊園地に行けたりするなどの手続きをおこない、学習行動を増やしていった。このよう に望ましい行動を示した際に正の強化子である代用貨幣のトークンを与えることでその行動の強化・増大を図る技法を「トークン エコノミー」という。
※どの方法に関してもケース・フォーミュレーションによって問題の全体像を把握した後におこなうべきである。
確認問題
[1]
①〜⑤に適する語句を記入せよ。
心理療法の起源を何とするのかは難しい問題である。現代心理療法の歴史は、フロイトを祖とする(①)から始まったとされることが多いが、それ以前にも、原始治療や信仰治療があり、それらに含まれる治療的要素は、現在のさまざまな心理療法の中にも何らかの形で見出すことができるからである。また、フロイトによる無意識の発見と理解には、シャルコーらによる(②)が大きな影響を与えたことも知られている。 第二次世界大戦後になると、(①)の発展とともに、それに対する批判も強まるようになってくる。無意識の実証性に痛烈な批判を行ったアイゼンクなどに始まる(③)は、神経症は無意識の力動というよりも、不適切な学習によると考えて治療を行うことを強調した。(①)の決定論的視点だけでなく、(③)の機械論的視点をも批判し、マズローらによって第三の勢力とされた心理療法の考え方は、(④)である。そして、(①)の中から出てきたものの、従来の(①)とは異なった手法で治療を試みるもので、モレノやフークス、ヤーロムなどによって発展させられたのは(⑤)である。
(甲南大学大学院 人文科学研究科 人間科学専攻)
[2]
行動療法の基盤は(1)理論である。
(名古屋市立大学大学院 人間文化研究科 人間文化専攻)
解答
[1]
1、精神分析
2、ヒステリー研究
3、行動療法
4、人間性心理学
5、集団療法
[2]
1、学習
<参考文献>
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