スピッツ(Spitz, R. A.)
ポイント
スピッツ(Spitz, R. A.)は、実証的な観察に基づき、3ヶ月微笑と8ヶ月不安を提唱した。
3ヶ月微笑(無差別微笑)とは、生後3ヶ月頃の乳児が、正面を向いた顔を見ると微笑みかける現象のことを差す。
この頃の乳児には人の顔が特殊な意味を持ち始めると考えられている。
8ヶ月不安とは、生後8ヶ月頃の幼児が、見知らぬ人に会ったときに不安を示す現象のことを指す。人見知りとほぼ同義の概念である。この反応が起こるのは、記憶している母親(あるいは養育者)の顔と、目の前の見知らぬ人の顔が一致しないことの認識に基づくものと考えられている。つまり、この時期の乳児には、「母でないことの認識が成立しており、心の中の母親(あるいは養育者)像が明確になっていることを示す。
乳児が母親から3ヶ月以上にわたって引き離された場合に発生してくる、うつ病の精神運動抑制(精神活動の活発性・高揚性の低下)にも似た精神症状が『依託抑うつ(依託性抑うつ)』と訳される『アナクリティック・ディプレッション(anaclitic depression)』である。
ホスピタリズムは乳児期に親から離れて施設に入れられた子どもが示す、様々な心身の問題のことである。
確認問題
[1]
括弧に入る語を答えなさい。
スピッツ(Spitz, R. A.)は、実証的な観察に基づき、乳児と母親またはその代理者とのあいだの情動的なやりとりが早期乳児期の精神発達および自我形成の場となることを強調した。その一例として、乳児が見知らぬ人に対して拒否や恐怖などの反応を示すという可視的現象があり、彼はこの否定的反応がピークに達する時期にちなんで(1)と名付けた。
(帝塚山学院大学大学院 人間科学研究科 臨床心理学専攻)
[2]
乳児は生後3ヶ月になると話しかける人すべてに笑いかけるようになる。これを(①)という。それが、生後(②)ケ月になると親しくない人にはおびえを示し、人見知りするようになる。
(桜美林大学大学院 心理学研究科 臨床心理学専攻
[3]
下記の用語について簡単に説明しなさい。
・8ヶ月不安
(静岡大学大学院 人文社会科学研究科 臨床人間科学専攻)
解答
[1]
1、8ヶ月不安
[2]
1、3ヶ月微笑
2、8
[3]
R.Spitzが提唱した、生後8ヶ月頃の幼児が、見知らぬ人に会ったときに不安を示す現象のことを指す。人見知りとほぼ同義の概念である。