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ピアジェ(Piaget,J.)の同化(assimilation)と調節(accommodation)

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ポイント

ピアジェ均衡化説として、同化と調節を絶えず繰り返しながら発達するとしている。

 

シェマ(schema )

ピアジェは個体が環境と関わるときの認知・操作の枠組みとなるものを「シェマ」と呼び、このシェマによって、個体は外部環境を認識し、適応できるようになると述べた。

 

同化(assimilation)

自分が持っているシェマの中に環境を取り込む働き。例えば、壁を叩くという運動によって、(壁は)「固い」(叩くと)「痛い」という感覚が生じ、それが「壁」のシェマを獲得することにつながる。

 

調節・調整(accommodation)

自分が持っているシェマを環境に合わせて変える働き。上記の例でいえば、壁を叩いた際の「痛い」という感覚により、力の入れ方を減らしたりして「叩く」という行動のシェマを変化させることだといえる。

シェマの微調整を行う。

 

均衡化(equmbration)

外界と相互交渉をする時に必然的に生じるズレを克服すること。

同化がうまくいかないと調節を行う。

 

ピアジェの発達における理論では、環境との均衡化がはかられることによって発達が進むとされる。

 

確認問題

[1]

同化と調節について200字〜250宇程度で簡潔に解説しなさい。

大正大学大学院 人間学研究科 臨床心理学専攻)

 

[2]

同化(assimilation)と調節(accommodation)について説明せよ。

東洋英和女学院大学大学院 人間科学研究科 人間科学専攻)

 

解答

[1]

ピアジェによると、同化とは自分の持っているシェマの中に環境を取り込む働きである。例えば、壁を叩くことによって、壁の固さを感じたり、叩くと痛いという感覚が生じ、壁のシェマを獲得することに繋がる。一方、調節とは自分の持っているシェマを環境に合わせて変える働きである。例えば、壁を叩いた時の痛いという感覚を理解し、力の入れ方を変えたりして、叩くという行動のシェマを変化させる。ピアジェは均衡化説として、同化と調節を絶えず繰り返しながら、認知が低次の水準から高次な水準へ発達するとしている。 [241字]

 

[2]

ピアジェは個体が環境と関わるときの認知・操作の枠組みとなるものを「シェマ」と呼び、このシェマによって、個体は外部環境を認識し、適応できるようになると述べた。ピアジェは同化と調節からなる均衡化と呼ばれる過程を通して発達が進むと述べた。同化では外部環境をシェマに取り入れる。調節では外部環境に合わせてシェマを変化させる働きである。例えば、赤ちゃんが経験により「つかむ」というシェマを獲得していたとする。そこで新しいボールのおもちゃをつかむことにより、その形や感触を理解したならば、「つかむ」というシェマへ同化が行われたことになる。それが柔らかいものであった場合、次回そのボールを触る時、つぶれないようにやさしくつかむことにより特徴を理解している様子が見られる。これは、柔らかいものの場合はやさしくつかむ、つまり、「つかむ」というシェマを調節をしたことになる。