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共同注意(joint attention)

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ポイント

 

一般に共同注意とは、「他者と事物に注意を配分し共有すること」を指す。それは共同注視と言われることもある。しかし、共同注視という用語では、人間の共同注意という現象を捉えることはできないだろう。共同注意の研究ではほとんど論じられないが、「盲児」にも共同注意があり、それは彼らの精神発達に重要な役割を演じているからである。共同注意には、「視覚的共同注意(共同注視)」(joint visual attention)だけではなく、「聴覚的共同注意」(joint auditory attention)や「触覚的共同注意」(joint tactile attention)が働いている。

 

共同注意は子ども養育者が相互に主張をぶつけあう第次間主観性の成立の中で、他者の意図に気づいていくことで発展していく。

 

相手の注意の追跡や誘導だけでなく,子ども自身が相手と共有していることの気づきを有していることが,共同注意には必要となる。これは,共同注意が,自分-対象-相手の間で注意や意図,情動を共有しやりとりする三項関係の現われと把捉するためである。この点に関してトマセロ(Tomasello,M.)は,生後9ヵ月の子どもはおとなと同じ対象に注意を向ける同時注視(simultaneous looking)だけだが,生後12ヵ月になると対象を指さした後,おとなの注意対象を確認する行動を起こすことを指摘した。

 

子どもと養育者が子どもの目の前に絵本を置いて読み聞かせする活動は、共同注意機能を持った活動と考えられる。

 

cf.

スカイフ(Scaife,M.)とブルーナー(Bruner,J.S.)の研究が元となっている。

 

確認問題

[1]

下記の用語について簡潔に説明しなさい。

・joint attention

静岡大学大学院 人文社会科学研究科 臨床人間科学専攻) 

 

解答

[1]

対象に対する注意を他者と共有することを共同注意という。2ヶ月頃の乳児ができるようになる。具体例としては,他者の視線や指さしの追随,自分から他者にある対象を指さしすること,自分の持っている物を相手に見せる行動(showing),おとなの注意をある対象に向けるために対象とおとなを交互に見る参照視(referential looking)などが挙げられる。