ポイント
成熟優位説 (maturation advantage theory)
社会や文化が異なっても、時代が変わっても、二足歩行までの運動発達には共通した一定の順序があり、正常な環境において、発達は学習や経験によらず、神経系の成熟によって進むと考えた。
人間の発達は主に成熟要因によって規定されるという説。
ゲゼルは双生児の階段のぼり研究(双生児統制法)を行い、成熟優位説を主張した。
ゲゼルは環境よりも、遺伝的に組み込まれたプログラムによる成熟を重視した。つまり、人間の発達は主に成熟要因によって規定される。
環境優位説のワトソン、成熟優位説のゲゼル、輻輳説のシュテルン、環境閾値説のジェンセン
ワトソンは
人の発達は生後の環境によって規定されるという環境優位説を唱えた。
つまり、環境要因を発達の基本的な型や順を作りだすものととらえた。
ゲゼルは環境よりも、遺伝的に組み込まれたプログラムによる成熟を重視した。
なお、学習を行うための発達の準備状態をレディネスという。上の実験では身体的な発達がすすむことで階段の登り降り動作に対するレディネスが整ったため、動作の習得ができたと考えることができる。
ジェンセンの環境閾値説では、各特性が発達するかはその環境の条件がある基準を超えたときだけであるとした。
成熟
遺伝に規定され環境の影響を受けない変化のこと。特に生後初期の発達においては、学習よりも成熟の影響が大きいと考えられている。
確認問題
[1]
次の(ア)〜(オ)の人名に最も関連深い用語をA欄(①〜⑩)から選び、その番号を示しなさい。
(ア)Gesell,A. L.
(イ)Havighurst,R. J.
(ウ)Vygotsky,L S.
(エ)Lorenz,K.
(オ)Ainsworth,M. H. D.
【A】欄
①刻印づけ(imprinting)
②心理性的発達
③心の理論
④同化と調節
⑤環境説
⑥成熟優位説
⑦Strange Situation Procedure
⑧心理社会的モラトリアム
⑨発達の最近接領域
⑩発達課題
(愛知淑徳大学大学院)
解答
[1]
(ア)⑥成熟優位説
(イ)⑩発達課題
(ウ)⑨発達の最近接領域
(エ)①刻印づけ
(オ)⑦Strange Situation Procedure