パーソナリティ障害(PD:personality disorder)
ポイント
パーソナリティ障害(PD:personality disorder)
パーソナリティ障害とは、思考・感情・行動などのパターンが平均からいちじるしく逸脱し、自分または周りの人が苦しむような状態のことを指す。
精神科での治療(対応)として、抑うつ症状や不眠状態、不安などの訴えに対しては向精神病薬を処方することができる。
もしくは各種の心理療法による心理面、行動面への介入も可能である。
しかし、パーソナリティは生活史の中で少しずつ形成されたものであるため、根底から変化させることは困難であることが多い。
直面している生活上の困難を一つずつ改善し、適応的な生活を支援することが有効となることが多い。
心理療法としては支持的精神療法、認知行動療法、精神分析的精清神療法などの効果があると言われている。リネハン(Linehan、M.M.)が創始した弁証法的行動療法は境界性パーソナリティ障害に特化した心理療法である。
バーソナリティ障害全般の診断基準
A. その人の属する文化から期待されるものより著しく偏った、内的体験および行動の持続的様式。この様式は以下のうち2つ(またはそれ以上)の領域に現れる。
(1)認知(すなわち、自己、他者、および出来事を知覚し解釈する仕方)
(2)感情性(すなわち、情動反応の範囲、強さ、不安定さ、および適切さ)
(3)対人関係機能
(4)衝動の制御
B. その持続的様式は、柔軟性がなく、個人的および社会的状況の幅広い範囲に広がっている。
C. その持続的様式は、臨床的に意味のある苦痛、または社会的、職業的、または他の重要な領域における機能の障害を引き起こしている。
D. その様式は、安定し、長時間続いており、その始まりは少なくとも青年期または成人期早期にまでさかのほることができる。
E. その持続的様式は、他の精神疾患の表れ、またはその結果ではうまく説明されない。
F. その持続的様式は、物質(例:乱用薬物、医薬品)または他医学的疾患(例:頭部外傷)の直接的な生理学的作用によるものではない
A群
風変わりな考え方や行動が主な特徴統合失調症とよく似た症状がみられる。人格のくずれが感じられる。
猜疑性パーソナリティ障害/妄想性パーソナリティ障害(Paranoid Personality Disorder)
疑い深い傾向がある。周囲の出来事や人の行動を自分に対して悪意があると解釈したりする。
→根拠なく疑う人
猜疑性パーソナリティ障害/妄想性パーソナリティ障害の診断基準
A. 他人の動機を悪意あるものと解釈するといった、広範な不信と疑い深さが成人期早期までに始まり、種々の状況で明らかになる。以下のうち4つ(またはそれ以上)によって示される
(1)十分な根拠もないのに、他人が自分を利用する、危害を与える、またはだますという疑いをもつ。
(2)友人または仲間の誠実さや信頼を不当に疑い、それに心を奪われている
(3)情報が自分に不利に用いられるという根拠のない恐れために、他人に秘密を打ち明けたがらない。
(4)悪意のない言葉や出来事の中に、自分をけなす、または脅す意味が隠されていると読む。
(5)恨みをいだき続ける(つまり、侮辱されたこと、傷つけられたこと、または軽蔑されたことを許さない)
(6)自分の性格または評判に対して他人にはわからないような攻撃を感じ取り、すぐに怒って反応する、または逆襲する
(7)配偶者または性的伴侶の貞操に対して、繰り返し道理合わない疑念をもつ。
B. 統合失調症、「双極性障害または抑うつ障害、精神病性の特徴を伴う」、または他の精神病性障害の経過中にのみ起こるものではなく、他の医学的疾患の生理学的作用によるものでもない。
注:統合失調症の発症前に基準が満たされている場合には、「病前」とつけ加える。すなわち「猜疑性パーソナリティ障害(病前)」
シゾイドパーソナリティ障害/スキゾイドパーソナリティ障害(Schiziod Personality Disorder)
以前は「統合失調症質パーソナリティ障害」と呼ばれていた。社会への関わりが薄く、感情を示すことがあまりない。
→ひとりぼっち
シゾイドパーソナリティ障害/スキゾイドパーソナリティ障害の診断基準
A. 社会的関係からの離脱、対人関係場面での情動表現の範囲の限定などの広範な様式で、成人期早期までに始まり、種々の状況で明らかになる。以下のうち4つ(またはそれ以上)によって示される。
(1)家族の一員であることを含めて、親密な関係をもちたいと思わない、またはそれを楽しいと感じない。
(2)ほとんどいつも孤立した行動を選択する。
(3)他人と性体験をもつことに対する興味が、もしあったとしても、少ししかない。
(4)喜びを感じられるような活動が、もしあったとしても、少ししかない。
(5)第一度親族以外には、親しい友人または信頼できる友人がいない。
(6)他人の賞賛や批判に対して無関心に見える。
(7)情動的冷淡さ、離脱、または平板な感情状態を示す。
B. 統合失調症、「双極性障害または抑うつ障害、精神病性の特徴を伴う」、他の精神病性障害、または自閉スペクトラム症の経過中にのみ起こるものではなく、他の医学的疾患の生理学的作用によるものでもない。
注:統合失調症の発症前に基準が満たされている場合には、「病前」とつけ加えるすなわち、「シゾイドパーソナリティ障害(病前)」
統合失調型パーソナリティ障害(Schizotypal Personality Disorder)
人との関係を築くことが苦手である。ものの捉え方や考え方が奇妙で現実離れしていることが多い。
→不思議ちゃん
統合失調型パーソナリティ障害の診断基準
A. 親密な関係では急に気楽でいられなくなること、そうした関係を形成する能カが足りないこと、および認知的または知覚的歪曲と風変わりな行動で特徴づけられる、社会的および対人関係的な欠陥の広範な様式で、成人期早期までに始まり、種々の状況で明らかになる。以下のうち5つ(またはそれ以上)によって示される。
(1)関係念慮(関係妄想は含まない)
(2)行動に影響し、下位文化的規範に合わない奇異な信念、または魔術的思考(例:迷信深いこと、千里眼、テレパシー、または“第六感”を信じること;子どもおよび青年では、奇異な空想または思い込み)
(3)普通でない知覚体験、身体的錯覚も含む
(4)奇異な考え方と話し方(例:あいまい、まわりくどい、抽象的、細部にこだわりすぎ、紋切り型)
(5)疑い深さ、または妄想様観念
(6)不適切な、または収縮した感情
(7)奇妙な、風変わりな、または特異な行動または外見
(8)第一度親族以外には、親しい友人または信頼できる人がいない。
(9)過剰な社交不安があり、それは慣れによって軽減せず、また自己卑下的な判断よりも妄想的恐怖を伴う傾向がある
B. 統合失調症、「双極性障害または抑うつ障害、精神病性の特徴を伴う」、他の精神病性障害、または自閉スペクトラム症の経過中にのみ起こるものではない
注:統合失調症の発症前に基準が満たされている場合には、「病前」とつけ加える。すなわち、「統合失調型パーソナリティ障害(病前)」
B群
感情が激しく、不安定なタイプ。移り気で行動も劇的なため、周囲の人が巻き込まれやすいパーソナリティ障害である。自分を見て欲しいとする激しい行動を示す。
反社会性パーソナリティ障害(Antisocial Personality Disorder)
倫理観や道徳観が薄く、問題行動を起こしやすいパーソナリティ障害。
→嘘つきで暴力的
反社会性パーソナリティ障害の診断基準
A.他人の権利を無視し侵害する広範な様式で、15歳以降起こっており、以下のうち3つ(またはそれ以上)によって示される。
(1)法にかなった行動という点で社会的規範に適合しないこと、これは逮捕の原因になる行為を繰り返し行うことで示される。
(2)虚偽性、これは繰り返し聴をつくこと、偽名を使うこと、または自分の利益や快楽のために人をだますことによって示される。
(3)衝動性、または将来の計画を立てられないこと
(4)いらだたしさおよび攻撃性。これは身体的な喧嘩または暴力を繰り返すことによって示される。
(5)自分または他人の安全を考えない無謀さ
(6)一貫して無責任であること。これは仕事を安定して続けられない、または経済的な義務を果たさない、ということを繰り返すことによって示される。
(7)良心の阿責の欠如。これは他人を傷つけたり、いじめたり、または他人のものを盗んだりしたことに無関心であったり、それを正当化したりすることによって示される。
B. その人は少なくとも18歳以上である。
C. 15歳以前に発症した素行症の証拠がある。
D. 反社会的な行為が起こるのは、統合失調症や双極性障害の経過中のみではない。
境界性パーソナリティ障害(Borderline Personality Disorder)
周囲に依存し、周囲が支えきれなくなると、激しい対応を示すタイプである。
→いわゆるメンヘラ
境界性パーソナリティ障害の診断基準
対人関係、自己像、感情などの不安定性および著しい衝動性の広範な様式で、成人期早期までに始まり、種々の状況で明らかになる。以下のうち5つ(またはそれ以上)によって示される。
(1)現実に、または想像の中で、見捨てられることを避けようとするなりふりかまわない努力(注:基準5で取り上げられる自殺行為または自傷行為は含めないこと)
→見捨てられることを回避するための甚だしい努力(Abandonment)
(2)理想化とこき下ろしとの両極端を揺れ動くことによって特徴づけられる、不安定で激しい対人関係の様式
→理想化とおとしめの間を揺れ動くような、不安定で強烈な対人関係パターン(Relationships)
(3)同一性の混乱:著明で持続的に不安定な自己像または自己意識
→同一性の混乱(Identity)
(4)自己を傷つける可能性のある衝動性で、少なくとも2つの領域にわたるもの(例:浪費、性行為、物質乱用、無謀な運転、過食)(注:基準5で取り上げられる自殺行為または自傷行為は含めないこと)
→自己を傷つけるおそれのある衝動性で、少なくとも2つの領域にわたるもの(Impulsivity)
(5)自殺の行動、そぶり、脅し、または自傷行為の繰り返し
→反復する自殺行動、そぶり、脅し、自傷行動(Suicidal behavior)
(6)顕著な気分反応性による感情の不安定性(例:通常は2〜3時間持続し、2〜3日以上持続することはまれな、エピソード的に起こる強い不快気分、いらだたしさ、または不安)
→高い気分反応性による感情不安定(Disorderd, unstable affect)
(7)慢性的な空虚感
→慢性的な空虚感(Enptiness)
(8)不適切で激しい怒り、または怒りの制御の困難(例:しばしばかんしゃくを起こす、いつも怒っている、取っ組み合いの喧嘩を繰り返す)
→不適切で強い怒り、またその制御ができない(Rage)
(9)一過性のストレス関連性の妄想様観念または重篤な解離症状
→ストレスに関連した一過性の被害念慮、重度の解離症状(Paranoid ideation)
演技性パーソナリティ障害(Histrionic Personality Disorder)
自分が悲劇の主人公であると思いたがり、他人の注目をひくための行動を繰り返す。
→目立ちたがりやさん
演技性パーソナリティ障害の診断基準
過度な情動性と人の注意を引こうとする広範な様式で、成人期早期までに始まり、種々の状況で明らかになる。以下のうち5つ(またはそれ以上)によって示される。
(1)自分が注目の的になっていない状況では楽しくない。
(2)他者との交流は、しばしば不適切なほど性的に誘惑的な、または挑発的な行動によって特徴づけられる。
(3)浅薄ですばやく変化する情動表出を示す。
(4)自分への関心を引くために身体的外見を一貫して用いる。
(5)過度に印象的だが内容がない話し方をする。
(6)自己演劇化、芝居がかった態度、誇張した情動表現を示す。
(7)被暗示的(すなわち、他人または環境の影響を受けやすい)
(8)対人関係を実際以上に親密なものと思っている。
自己愛性パーソナリティ障害(Narcissistic Personality Disorder)
他人を思いやることが乏しく、自己を誇示し、賞賛を集めることを求める。
→褒められたい
自己愛性パーソナリティ障害の診断基準
誇大性(空想または行動における)、賛美されたい欲求、共感の欠如の広範な様式で、成人期早期までに始まり、種々の状況で明らかになる。以下のうち5つ(またはそれ以上)によって示される。
(1)自分が重要であるという誇大な感覚(例:業績や才能を誇張する、十分な業績がないにもかかわらず優れていると認められることを期待する)
(2)限りない成功、権力、才気、美しさ、あるいは理想的な愛の空想にとらわれている。
(3)自分が“特別”であり、独特であり、他の特別なまたは地位の高い人達(または団体)だけが理解しうる、または関係があるべきだ、と信じている。
(4)過剰な賛美を求める。
(5)特権意識(つまり、特別有利な取り計らい、または自分が期待すれば相手が自動的に従うことを理由もなく期待する)
(6)対人関係で相手を不当に利用する(すなわち、自分自身の目的を達成するために他人を利用する)
(7)共感の欠如:他人の気持ちおよび欲求を認識しようとしない、またはそれに気づこうとしない。
(8)しばしば他人に嫉妬する、または他人が自分に嫉妬していると思い込む。
(9)尊大で倣慢な行動、または態度
C群
不安や恐怖が強いタイプのパーソナリティ障害。また、受動一攻撃性パーソナリティ障害やその他の分類不能なパーソナリティ障害もこの群に含まれる。
回避性パーソナリティ障害(Avoidant Personality Disorder)
問題があった時に、立ち向かっていくのでなくて、避けてやりすごすパターンを繰り返す。
→バカにされたくない
回避性パーソナリティ障害の診断基準
社会的抑制、不全感、および否定的評価に対する過敏性の広範な様式で、成人期早期までに始まり、種々の状況で明らかになる。以下のうち4つ(またはそれ以上)によって示される。
(1)批判、非難、または拒絶に対する恐怖のために、重要な対人接触のある職業的活動を避ける。
(2)好かれていると確信できなければ、人と関係をもちたがらない。
(3)恥をかかされる、または嘲笑されることを恐れるために、親密な関係の中でも遠慮を示す。
(4)社会的な状況では、批判される、または拒絶されることに心がとらわれている。
(5)不全感のために、新しい対人関係状況で抑制が起こる。
(6)自分は社会的に不適切である、人間として長所がない、または他の人より劣っていると思っている。
(7)恥ずかしいことになるかもしれないという理由で、個人的な危険をおかすこと、または何か新しい活動にとりかかることに、異常なほど引っ込み思案である
依存性パーソナリティ障害(Dependant Personality Disorder)
自分で何かを決めたり、判断することができず、いつでも決断を他人任せにする。
→自分で決められない
依存性パーソナリティ障害の診断基準
面倒をみてもらいたいという広範で過剰な欲求があり、そのために従属的でしがみつく行動をとり、分離に対する不安を感じる。成人期早期までに始まり、種々の状況で明らかになる、以下のうち5つ(またはそれ以上)によって示される。
(1)日常のことを決めるにも、他の人達からのありあまるほどの助言と保証がなければできない
(2)自分の生活のほとんどの主要な領域で、他人に責任をとってもらうことを必要とする。
(3)支持または是認を失うことを恐れるために、他人の意見に反対を表明することが困難である(注:懲罰に対する現実的な恐怖は含めないこと)
(4)自分自身の考えで計画を始めたり、または物事を行うことが困難である(動機または気力が欠如しているというより、むしろ判断または能力に自信がないためである)
(5)他人からの世話および支えを得るために、不快なことまで自分から進んでするほどやりすぎてしまう
(6)自分自身の面倒をみることができないという詩張された恐怖のために、1人になると不安、または無力感を感じる
(7)1つの親密な関係が終わったときに、自分を世話し支えてくれるもとになる別の関係を必死で求める。
(8)1人残されて自分で自分の面倒をみることになるという恐怖に、非現実的なまでにとらわれている。
強迫性パーソナリティ障害(Obsessive-Compulsive Personality Disorder)
完壁主義で、自分の決まりや手順に固執する。
→完璧屋さん
強迫性パーソナリティ障害の診断基準
秩序、完壁主義、精神および対人関係の統制にとらわれ、柔軟性、開放性、効率性が犠牲にされる広範な様式で、成人期早期までに始まり、種々の状況で明らかになる。以下のうち4つ(またはそれ以上)によって示される。
(1)活動の主要点が見失われるまでに、細目、規則、一覧表、順序、構成、または予定表にとらわれる。
(2)課題の達成を妨げるような完璧主義を示す(例:自分自身の過度に厳密な基準が満たされないという理由で、1つの計画を完成させることができない)
(3)娯楽や友人関係を犠牲にしてまで仕事と生産性に過剰にのめり込む(明白な経済的必要性では説明されない)
(4)道徳、倫理、または価値観についての事柄に、過度に誠実で良心的かつ融通がきかない(文化的または宗教的立場では説明されない)
(5)感傷的な意味をもたなくなってでも、使い古した、または価値のない物を捨てることができない。
(6)自分のやるやり方どおりに従わなければ、他人に仕事を任せることができない、または一緒に仕事をすることができない。
(7)自分のためにも他人のためにもけちなお金の使い方をする。お金は将来の破局に備えて貯めこんでおくべきものと思っている
(8)堅苦しさと頑固さを示す。
援助方法
パーソナリティ障害の援助方法として、力動的精神療法や認知行動療法など様々な介入が試みられている。また、境界性パーソナリティ障害に対してはリネハンの開発した弁証法的行動療法などもあるまたパーソナリティ障害には、少量の薬物療法と心理療法の併用も効果があると言われている。支援に際しては、その援助が依拠する理論的立場がどのようなものであれ、援助者はクライエントに情緒的に巻き込まれないように留意しなければならない。特に境界性パーソナリティ障害などでは援助者への投影性同一視などの原始的防衛機制によって、援助者とクライエントの関係は非常に激しく不安定なものになることがある。このようなクライエントによる関係性の操作に巻き込まれないよう留意つつも、クライエントに対する共感的理解や受容に心がけるべきである。また、概してパーソナリティ障害の援助には長期間に渡る傾向があるが、結果を急ぐことなく、クライエントのパーソナリティのスタイルを少しでも適応的な形へと変化するよう援助することが求められる。
確認問題
[1]
(1)パーソナリティ障害とは、利己的で他人の気持ちや迷惑を考えることができず、社会のルールや法律に反する行為を平気で行うことで特徴づけられる。
(目白大学大学院 心理学研究科 臨床心理学専攻)
[2]
パーソナリティ障害について説明しなさい。また、心理学的援助を行う際の留意点について述べなさい。
(昭和女子大学大学院 生活機構研究科 心理学専攻)
解答
[1]
1、反社会性
[2]
パーソナリティ障害パーソナリティ障害とは、思考、感情、行動などのパターンが平均からいちじるしく逸脱し、自分または周りの人が苦しむような状態のことを指す。DSMでは、パーソナリティ障害をA群、B群、C群の3つに分類している。A群とは奇異で普通でない行動を示す群である。妄想性、シゾイド、失調型パーソナリティ障害の3つが含まれる。統合失調症のそれほど深刻ではない症状との間に類似性がある。B群とは派手で突飛な行動を示す群である。境界性性、演技性、自己愛性、反社会性パーソナリティ障害がここに含まれる。C群とは不安や恐怖に関連する行動を示す群である。ここには回避性、依存性、強迫性パーソナリティ障害が含まれる。対人恐怖、甘え、ワーカホリックなどと関連があり、日本文化との親和性が比較的高いと考えられる。
心理学的援助を行う際の留意点パーソナリティ障害の援助方法として、力動的精神療法や認知行動療法など様々な介入が試みられているがその援助が依拠する理論的立場がどのようなものであれ、援助者はクライエントに情緒的に巻き込まれないように留意しなければならない。特に境界性パーソナリティ障害などでは援助者への投影性同一視などの原始的防衛機制によって、援助者とクライエントの関係は非常に激しく不安定なものになることがある。このようなクライエントによる関係性の操作に巻き込まれないよう留意しつつも、クライエントに対する共感的理解や受容に心がけるべきである。また、概してパーソナリティ障害の援助には長期間に渡る傾向があるが、結果を急ぐことなく、クライエントのパーソナリティのスタイルを少しでも適応的な形へと変化するよう援助することが求められる。