主題統覚検査(TAT:Thematic Apperception Test)
ポイント
TATの開発者はマレー(Murray, H. A.)とモーガン(Morgan, C. D.)である。日常生活における葛藤場面が描かれたカードを1枚ずつ呈示し、過去現在・未来に渡る物語を作る。分析対象になるのは、その物語の主人公が感じている欲求や圧力である。ここでの「欲求」とは、主人公が環境に働きかける行動を引き起こす内部からの力を指し、「圧力」とは環境側から主人公に働きかける力を指す。マレーの欲求圧力理論を基盤とし、被検査者が葛藤状況をどのように認識し、どのような対処行動を行っているかといった性格・行動傾向から、パーソナリティを明らかにしていく。児童用にCATがある。
TATは、Murstein(1963)が指摘するようにTATの分析法は解釈者の数だけあるといえ、とても分析や解釈の仕方が確立されているとはいえない。従って、ロールシャッハテストのようには確立された体系がなされていないとされる。その理由としては、反応の記号化や数量化が困難であることがあげられる。この理由は少なからずSCTにも当てはまる。ラパポート(1968)もロールシャッハテストや言語連想検査に比べれば、TATは、その用い方によっては非常に有用なものであるにもかかわらす「テスト」としての理想型からはほど遠いものであると述べている。
確認問題
[1]
括弧にあてはまる適切な専門用語を答えなさい。
Murray, H. A.が開発したTAT(主題統覚検査)は、(1)理論に基づいている。
(東京成徳大学院 心理学研究科 臨床心理学専攻)
[2]
以下の心理検査の内容に関連するものをA群から、その検査に関わりの深い人物をB群からそれそれ選びなさい。
1: TAT 2: SDS 3: K-ABC 4: NEO-PI-R
[A群]
Big Five 継次処理一同時処理モデル
Discrepancy分析 交流分析
欲求一圧力分析
[B群]
Zung, W. W. K. Costa、P.T. Murray, H. A.
Hathaway, S. R. Kaufman, A. S. Eysenck,H.A
(日本女子大学院 人間社会研究科 心理学専攻 臨床心理学領域)
[3]
主題統覚検査の子ども版で、子どもは人間に対するよりも動物に対する方がよりよく自分を表現する、という理論に基づいて動物が擬人化されて描かれている。この検査名について正しいものを一つ選びなさい。
1. TAT
2. PFスタディ
3.ロールシャッハテスト
4. CAT
5. MMPI
[4]
(a)は30近い社会的動機をあげ、さらに欲求一圧力説に基づいて(b)という投影法を開発した。
(名古屋市立大学大学院 人間文化研究科 人間文化専攻 臨床心理コース)
[5]
下記の用語について簡潔に説明しなさい。
・TAT
(静岡大学大学院 人文社会科学研究科 臨床人間科学専攻)
解答
[1]
1、欲求ー圧力
[2]
1、欲求ー圧力分析 Murray, H. A.
2、自己評価式抑うつ尺度 Zung, W. W. K.
3、継時処理ー同時処理モデル Kaufman, A. S.
4、Big Five Costa、P.T.
[3]
4
[4]
a:マレー(Murray, H. A.)とモーガン(Morgan, C. D.)
b:TAT(主題統覚検査)
[5]
主題統覚検査(Thematic Apperception Test)、TATの開発者はマレー(Murray, H. A.)とモーガン(Morgan, C. D.)である。日常生活における葛藤場面が描かれたカードを1枚ずつ呈示し、過去現在・未来に渡る物語を作る。分析対象になるのは、その物語の主人公が感じている欲求や圧力である。ここでの「欲求」とは、主人公が環境に働きかける行動を引き起こす内部からの力を指し、「圧力」とは環境側から主人公に働きかける力を指す。マレーの欲求圧力理論を基盤とし、被検査者が葛藤状況をどのように認識し、どのような対処行動を行っているかといった性格・行動傾向から、パーソナリティを明らかにしていく。児童用にCATがある。