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不登校(school refuse)

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ポイント

不登校

不登校とは、何らかの心理的・情緒的・身体的あるいは社会的要因・背景により、子どもが登校しない、あるいはしたくともできない状況にあること(ただし,病気や経済的理由によるものを除く)をいう。 

これは文部科学省の定義である。

 

不登校」は学校に登校しない状態のことと定義されるが、以下のように分類される。

・学籍がなく、登校しない状態のこと。非就学者も参照。過年度生(受験浪人)や就学義務猶予免除対象者なども含まれる。
・学籍がある人が、登校しない状態のこと。休学や停学、出席停止なども含まれる。

 

不登校の要因

いじめ

学校でのいじめや友達との仲たがいが考えられる。これには、心理的援助として、いじめの解消や学校に来やすい教室づくりを行う。

 

 

家庭内の問題

家族内での問題があげられる。これに対しては、心理的援助として、家族内でどのような問題があるかを明確にし、必要に応じて子どもやその親に対するカウンセリングを行う必要がある。

 

学業不振

学業不振が考えられる。これへの心理的援助として、学業不振そのものではなく、学業不振による劣等感から不登校になることがあるので、この劣等感を少しでも軽減するよう教師は児童に声かけをするなど教室での居場所を作る。

 

精神疾患

精神疾患(思春期うつ病、睡眠リズム障害など)が考えられる。心理的援助として、精神疾患であることをできるだけ早く確定するため、病院へのリファーを行う。

 

発達障害

発達障害が考えられる。2011年8月に行われた文科省の「不登校問題に関する調査研究協力者会議」では、「不登校の中で発達障害の割合が3割くらいと言われている」とある。現時点においては、「家庭」「学校」「発達障害」の3つが相互に関係して不登校の状態に至るのではないかと考えられている。また、その支援方法を考えるときには、不登校期間を逃避期、苦問期、休息期、回復期に分け、支援開始時期がどこの時期にあたるのか、また、不登校の開始時期や長さに留意する必要があるとされている。同時に、不登校児への教育的支援の方向については、特別支援教育の視点からも検討を加える必要がある。また、発達障害傾向のある不登校児童への教育的支援を考察するに当たり、一般的な不登校のタイプや定義などにあてはめながら、個々の事態や背景をきめ細かく分析する必要があると考えた。発達障害が原因で不登校となっている児童生徒は、文部科学省不登校の定義とタイプ分けでは、「不安等の情緒的混乱」型と「無気力」型の2つの型の中のいずれかに分類されていると考えられる。しかし、このタイプ分けの状態像の項目において、発達障害が原因で不登校になっている児童生徒の状態像は、2つ型の状態像が混ざり合っていると考えられる。

 

 

cf.

思春期うつ

全般的に不活発で表情も乏しくなり、疲労感、倦怠感といった全身不調の訴えに、明らかな食欲低下、吐き気などがある。大人のうつと違って精神症状が目立たないのが特徴的である。宿題や勉学に意欲関心を失せてしまうので家族からは惰と誤解されがちである。

 

睡眠リズム障害

毎日同じ時間に眠るのが難しい病気であり、就寝してから眠りに入る時間が毎日1時間ずつ遅れていく障害である。これによって寝るべきとき起きるべきときに、寝たり起きたりすることができなくなり、学校に行く時間に起きられずに休むことが続くということがある。

 

確認問題

[1]

不登校の要因として考えられるものを3つ取り上げ、それぞれについてどのような心理的援助を行うことが適切であるか述べなさい。

明治大学大学院 文学研究科 臨床人間学専攻)

 

解答

[1]

不登校とは、何らかの心理的・情緒的・身体的あるいは社会的要因・背景により、子どもが登校しない、あるいはしたくともできない状況にあることである。不登校の要因として考えられるもの一つに、学校でのいじめや友達との仲たがいが考えられる。これには、心理的援助として、いじめの解消や学校に来やすい教室づくりを行う。二つ目に、家族内での問題があげられる。これに対しては、心理的援助として、家族内でどのような問題があるかを明確にし、必要に応じて子どもやその親に対するカウンセリングを行う必要がある。三つ目に、学業不振が考えられる。これへの心理的援助として、学業不振そのものではなく、学業不振による劣等感から不登校になることがあるので、この劣等感を少しでも軽減するよう教師は児童に声かけをするなど教室での居場所を作る。