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食行動障害および摂食障害群(feeding and eating disorders)

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ポイント

摂食障害群では,摂食または摂食に関連する行動に関して,以下のような持続的な障害が認められる。

・食物の摂取または吸収を変容させる
・身体的健康、心理社会的機能を大きく損なう

 

つまり、極端な食事制限、大量の食べ物の摂取、代償としての排出などが特徴である。

 

具体的な摂食障害群としては以下のものがある。

・神経性無食欲症(神経性やせ症)
・神経性過食症(神経性大食症)

・過食性障害

・回避・制限性食物摂取症
・異食症
・反芻症

 

 

神経性無食欲症(神経性やせ症):Anorexia nervosa

思春期やせ症、拒食症とも呼ばれる。先進国を中心に増加しており、思春期・青年期の女性に多い。極端にやせているにも関わらずさらに痩せたいという願望を抱いているところからボディ・イメージが歪んでいるとされる。痩せている現状を認めないなど否認の強さが特徴で、痩せていない(痩せの否認、お腹は減っていない(空腹の否認)、疲れていない(疲労の否認)「3つのないを主張するため病識もない。絶食や、食べて吐くといった排出行為を行うこともある。神経性無食欲症の場合、命の危機にかかわることもあるためそのような場合には入院によって点滴での栄養補給がなによりも大事になる。心理療法としては、家族療法や認知行動療法が適用されることがある。

 

神経性過食症(神経性大食症):Bulimia nervosa

プリミア、ネルボーザとも呼ばれる。むちゃ食いの存在が中核であり大量の食物を一度に食べるが、その代償行動として自己誘発性嘱吐や下剤などの利用による排出を行うことが特徴である。神粒性無食欲症と対照的なところは、むちゃ食い後の苦悩といわれるように、本人に病識があり受診につながる場合が多い。認知行動療法対人関係療法などが効果的と言われている。

 

 

確認問題

[1]

摂食障害に関して下記の設問に答えなさい。

(1)摂食障害の分類と診断基準について記述しなさい。

(2)摂食障害の治療について記述しなさい。

(3)摂食障害は我が国ではこの20年間で飛躍的に増加したが、その発病に至る精神病理、社会文化的背景について記述しなさい。

白百合女子大学大学院 文学研究科 発達心理学専攻)

 

[2]

神経性過食症/神経性大食症に見られる「不適切な代償行動」にはどのような行動があるか、具体例を2つ挙げなさい。

名古屋市立大学大学院 人間文化研究科 人間文化専攻)

 

[3]

下記の用語について簡単に説明しなさい。

・eating disorder

 

 

解答

 [1]

(1)

 摂食障害の分類として主なものは、「神経性無食欲症」「神経性過食症」、さらに、DSM-5で追加された「過食性障害」の3つである。

DSMにおける、神経性無食欲症の診断基準の主なポイントは、「食事量が少なくて低体重」「体重増加や肥満への過剰な恐怖か、体重増加を妨げる行為の持続」「身体像障害や、体重や体型への過度なとらわれや、低体重の問題の否認」がある。

神経性過食症の診断基準の主なポイントは「制限できず、沢山食べてしまう(過食)」「不適切な代償行為(自己誘発性幅吐や下剤乱用、過活動拒食など)に及ぶ」があげられる。

また、不適切な代償行為に及んでいれば、神経性過食症の診断を検討する。神経性過食症と同様の治療が試みられる。

過食性障害は、不適切な代償行為には及ばず過食が繰り返される病態である。不適切な代償行為に及んでいれば、神経性過食症の診断を検討する。神経性過食症と同様の治療が試みられる。

(2)

 神経性無食欲症の場合、命の危機にかかわることもあるためそのような場合には入院によって点滴での栄養補給がなによりも大事になる。心理療法としては、家族療法や認知行動療法が適用されることがある。

神経性過食症の場合は、認知行動療法対人関係療法などが効果的と言われている。

(3)

人格的要因として、人格の未成熟が窺える。

養育者との関係において、心理的・生理的欲求への適切な応答を十分に経験なかったことにより、悪い対象関係が優位に内在化されており、自我機能が十分に働かず、スプリッティング基礎とする原始的防衛機制が働きやすいとされる。

また、むちゃ食いや嘱吐による身体感覚に集中し、苦痛内的体験からの解放を求める乖離も見られる。

性格特性としてはしばしば完全主義傾向・強迫傾向が強く見られる。

無食や排出による体重減少を強化子とする階癖行動としての側面も強い。

家族要因として、支配的な母親および存在感の薄い父親、という様相が見られやすい。

社会的背景としては、西洋的価値観に基づくダイエットブームとやせ顧望が繰り返し指摘される。日本ではアメリカを中心とする欧米のファッションモデルなどがよく紹介されるようになった1970年代以降、摂食障害患者が急増しており、また、1980年代までテレビのなかったフィジーでも、欧米のテレビ番組が放映され始めて以来、摂食障害が急増した、という例も報告されている。

 

 [2]

不適切な代償行動として、自己誘発性嘱吐、下剤などの利用による排出をあげる。自己誘発性嘱吐は、むちゃ食いの後、トイレなどで食べたものを無理やり自分で吐いてしまうことである。また、下剤や利尿剤の乱用は、「排出行動」と呼ばれている。排出行動を繰り返すと、身体へのダメージが生じる。

 

 [3]

ボディイメージの障害と摂食の問題(極端な食事制限や大量の食糧摂取と排出行為)にかかわる精神疾患である。神経性無食欲症(神経性やせ症)と神経性過食症(神経性大食症)に大きく分けることができる。