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パニック症/パニック障害(panic disorder)

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ポイント

パニック症/パニック障害(panic disorder)

パニック症/障害は不安症/障害のひとつであり、きっかけなく突然のパニック発作を繰り返すものである。息苦しさや息切れの動悸・窒息感・発汗・死への恐怖などの13の症状のうち4つ以上みられるものがパニック発作である。何の前触れもなく突然パニック発作に襲われるため「また発作が起こるのでは」という予期不安が強くなる。パニック発作に襲われたことがきっかけとなり強い不安を引き起こす。パニック障害者の約半数が広場恐怖を伴うと言われている。

 

不安障害にはパニック障害のほか、公共交通機関、人が集まる場所から逃げ出すことが困難であるという強い恐怖や不安からその場所を避けたりする広場恐怖、日常生活の様々な出来事に対して理由の定まらない不安や心配が生活に支障をきたすほど過剰に長期間続く全般性不安障害などがある。

 

パニック障害の治療法

パニック障害には薬物療法心理療法が有効であると考えられている。特に認知行動療法パニック障害に有効とするエビデンスが多く、エクスポージャーの利用が中心となっている。また、パニック障害の患者は、そうでない人よりも日常生活において緊張が高いことが知られている。そのため、日常における緊張状態を低下させるために、自律訓練法や呼吸法も有効であると考えられる。

 

パニック症の診断基準

A. 繰り返される予期しないパニック発作パニック発作とは、突然、激しい恐怖または痛烈な不快感の高まりが数分以内でピークに達し、その時間内に、以下の症状のうち4つ(またはそれ以上)が起こる。
注:突然の高まりは、平穏状態、または不安状態から起こりうる
(1)動悸、心悸亢進、または心拍数の増加
(2)発汗
(3)身震いまたは震え
(4)息切れ感または息苦しさ
(5)窒息感
(6)胸痛または胸部の不快感
(7)嘔気または腹部の不快感
(8)めまい感、ふらつく感じ、頭が軽くなる感じ、または気が遠くなる感じ
(9)寒気または熱感
(10)異常感覚(感覚麻痺またはうずき感)
(11)現実感消失(現実ではない感じ)または離人感(自分自身から離脱している)
(12)抑制力を失うまたは"どうかなってしまう”ことに対する恐怖
(13)死ぬことに対する恐怖
注:文化特有の症状(例:耳鳴り、首の痛み、頭痛、抑制を失っての叫びまたは号泣)がみられることもある。この症状は、必要な4つの症状の1つと数え上げるべきではない

B. 発作のうち少なくとも1つは、以下に述べる1つまたは両者が1ヶ月(またはそれ以上)続いている
(1)さらなるパニック発作またはその結果について持続的な懸念または心配(ex:抑制力を失う、心臓発作が起こる、"どうかなってしまう”)
 →予期不安
(2)発作に関連した行動の意味のある不適応的変化(ex:運動や不慣れな状況を回避するといった、パニック発作を続けるような行動)
 →回避行動

C. その障害は、物質の生理学的作用(ex:乱用薬物、医薬品)、または他の医学的疾患(例:甲状腺機能亢進症、心肺疾患)によるものではない
 →物質使用障害および身体疾患の除外

D. その障害は、他の精神疾患によってうまく説明されない(ex:パニック発作が生じる状況は、社交不安症の場合のように、恐怖する社交的状況に反応して生じたものではない;限局性恐怖症のように、限定された恐怖対象または状況に反応して生じたものではない;強迫症のように、強迫観念に反応して生じたものではない:心的外傷後ストレス障害のように、外傷的出来事を想起させるものに反応して生じたものではない;または、分離不安症のように、愛着対象からの分離に反応して生じたものではない)
 →他の精神疾患によって説明されない

 

 

確認問題

[1]

次のような精神症状や障害を何というか。

・動悸、心悸亢進、呼吸困難、発汗などの心身の症状が突発的に生じる。

京都学園大学大学院 人間文化研究科 人間文化専攻)

 

[2]

 不安にはさまざまな意味が含まれているが、本来、解決することが難しい破局が切迫しているという意識と関連しており、人間にとって必要だとする見方もある。しかし、「病的な不安」も存在する。臨床で問題となる「病的な不安」の代表が不安障害である。不安障害の1つに、(a)しないパニック発作が繰操り返し起こるパニック障害がある。パニック障害パニック発作ではさまざまな身体症状や精神症状がみられる。逃げられない、助けが得られない、恥ずかしい思いをするような場所や状況に対して不安・恐怖を感じることを(b)という。この症状はパニック発作を繰り返すために二次的に生じる(c)と考えられている。パニック障害に有効であるとされる治療法として薬物療法があるが、薬物の処方だけですべてのパニック関連の症状が改善されるわけではない。パニック障害に対する心理的治療法としてもっとも有効であるとされているのが(d)である。なかでも中心的技法とされるのが、(b)に対して効果があるとされる(e)法である。これには現実による方法と想像による方法がある。

東京女子大学大学院 人間科学研究科 人間社会学専攻)

 

解答

[1]

パニック障害

 

[2]

a、予期

b、広場恐怖

c、予期不安

d、認知行動療法

e、暴露