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解離性障害/解離症(DD:Dissociative Disorders)

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ポイント

 

解離性障害は、強いストレス(心的外傷)が原因とされている。これは、強いストレス(心的外傷)から意識を遠ざけたり、変化させたりする解離の防衛機制が働いているとされている。かつては転換症/障害と合わせてヒステリーと呼ばれていた。解離症には、解離性同一性障害/症、離人感・現実感消失症/障害、解離性健忘がある。

 

解離性同一症/解離性同一性障害(Dissociative identity disorder, DID)


・解離性同一症/解離性同一性障害(Dissociative identity disorder, DID)多重人格障害とも言われるものであるが、一人の人間の中に2つ以上の人格が存在する状態のことである。DSMによる多重人格の理論は、幼少期の被虐待経験に対する防衛と考えるため、主人格は他人格が現れている間の記憶は途切れ、また主人格は他人格の存在を自ら認知する事はない。

 

解離性同一症の診断基準

 

A.  2つまたはそれ以上の、他とはっきりと区別されるパーソナリティ状態によって特徴づけられた同一性の破綻で、文化によっては憑依体験と記述されうる。同一性の破綻とは、自己感覚や意志作用感の明らかな不連続を意味し、感情、行動、意識、記憶、知覚、認知、および/または感覚運動機能の変容を伴う。これらの徴候や症状は他の人により観察される場合もあれば、本人から報告される場合もある。

B.  日々の出来事、重要な個人的情報、および/または心的外傷的な出来事の想起についての空白の繰り返しであり、それらは通常の物忘れでは説明がつかない。

C.  その症状は、臨床的に意味のある苦痛、または社会的、職業的、または他の重要な領域における機能の障害を引き起こしている。

D.  その障害は、広く受け入れられた文化的または宗教的な慣習の正常な部分とはいえない。
    注:子どもの場合、その症状は想像上の遊び友達または他の空想的遊びとしてうまく説明されるものではない。

E.  その症状は物質(例:アルコール中毒時のブラックアウトまたは混乱した行動)や他の医学的疾患(例:複雑部分発作)の生理学的作用によるものではない。

 

 

解離性健忘(Dissosiative Amnesia

 

・解離性健忘

心的外傷により、それ以前の記憶を喪失してしまう障害である。解離性障害の中で最も頻出である。自殺未遂で助かった場合など、記憶を一度失うが、多くの場合は記憶が戻るとされている。

 

解離性健忘の診断基準

A.  重要な自伝的情報で、通常、心的外傷的またはストレスの強い性質をもつものの想起が不可能であり、通常の物忘れでは説明ができない。
 注:解離性健忘のほとんどが、特定の1つまたは複数の出来事についての限局的または選択的健忘、または同一性および生活史についての全般性健忘である。

B.  その症状は、臨床的に意味のある苦痛、または社会的、職業的、または他の重要な領域における機能の障害を引き起こしている。

C.  その障害は、物質(例:アルコールまたは他の乱用薬物、医薬品)、または神経疾患または他の医学的疾患(例:複雑部分発作、一過性全健忘、閉鎖性頭部外傷外傷性脳損傷の後遺症、他の神経疾患)の生理学的作用によるものではない。

D.  その障害は、解離性同一症、心的外傷後ストレス障害、急性ストレス障害、身体症状症、または認知症または軽度認知害によってうまく説明できない。

 

 

離人感・現実感消失症/障害(Depersonalization/Derealization  disorder)

 

離人感・現実感消失障害/症(Depersonalization/Derealization  disorder)(DSM-IV離人症性障害)では、身体または精神から自分が切り離されたような感覚が持続的または反復的にあり、自分の生活を外から観察しているように感じること(離人感)や、自分が外界から切り離されているように感じること(現実感消失)がある。

 

離人感・現実感消失症の診断基準

A.  離人感、現実感消失、またはその両方の持続的または反復的な体験が存在する。

(1)離人:自らの考え、感情、感覚、身体、または行為について、非現実、離脱、または外部の傍観者であると感じる体験(例:知覚の変化、時間感覚のゆがみ、非現実的なまたは存在しない自分、情動的およびまたは身体的

(2)現実感消失:周囲に対して、非現実または離脱の体験(例:人または物が非現実的で、夢のような、霧がかかった、生命をもたない、または視覚的にゆがんでいる、と体験される)

B.  離人感または現実感消失の体験の間、現実検討は正常に保たれている。

C.  その症状は、臨床的に意味のある苦痛、または社会的、職業的、または他の重要な領域における機能の障害を引き起こしている。

D.  その障害は、物質(例:乱用薬物、医薬品)または他の医学的疾患(例:てんかん発作)の生理学的作用によるものではない

E.  その障害は、統合失調症、パニック症、うつ病、急性ストレス障害心的外傷後ストレス障害、または他の解離症のような、他の精神疾患ではうまく説明できない、

 

 

 

 

 

 

確認問題

[1]

次の用語を簡単に説明しなさい。

・Dissociative Disorders

人間環境大学大学院 人間環境学研究科 人間環境専攻)

 

[2]

次のような精神症状や障害を何というか。

・同一人物に別の異なる人格が現れる。

京都学園大学大学院 人間文化研究科 人間文化専攻)

 

[3]

次のような精神症状や障害を何というか。

・自己や外界の存在感や現実感がなくなる

京都学園大学大学院 人間文化研究科 人間文化専攻)

 

解答

[1]

解離性同一症、離人感/現実感消失症、解離性健忘の総称が解離症である。強いストレス(心的外傷)から意識を遠ざけたり、変化させたりする防衛機制が働いていているとされている。

 

[2]
解離性同一症

 

[3]

離人感・現実感消失症DSM-IV離人症性障害)