カーンバーグ(Kernberg, O.F.)/ 病態水準(level of psychopathology)
ポイント
3つの側面
カーンバーグ(Kernberg, O.F.)は、人格の機能水準を3つの側面から、人格構造を3つの水準に分類した。3つの側面は、防衛機制、現実検討能力、自我同一性の統合度である。
防衛機制
防衛機制は、使用する防衛機制は抑圧をベースとした防衛機制か、それとも原始的防衛機制かを水準とする。
現実検討能力(reality testing)
現実検討能力(reality testing)は、自己と他者を区別できているか、自分の想像したことと現実の出来事を区別できているか、社会的規範から自分の行動を判断できるかを水準とする。
自我同一性の統合度
自我同一性の統合度は、自我同一性が安定しているかどうかを水準とする。
3つの水準に分類された人格構造
上記の3つの側面から、人格構造を神経症的人格構造、境界的人格構造、精神病的人格構造の3つに分類した。なお、下記人格構造に基づいた病気の分類を病態水準と呼ぶ。
神経症的人格構造
神経症的人格構造は、自己と他者との区別は保たれており、現実と想像との区別にも問題はないため、現実検討力も保たれている。防衛機制は抑圧をベースとした高次のものを主に用いる。葛藤は自己の内面に保持されており自我同一性も安定している。
境界的人格構造
境界的人格構造は、自己と他者との区別は暖味かつ不安定である。現実検討力は基本的に保たれているが、心的負荷により一時的に損なわれ精神病的となってしまうことがある。防衛機制は分裂をベースとした低次の原始的防衛機制を用いる。葛藤は回避行動、発散行動、快感充足行動などで処理される。
精神病的人格構造
精神病的人格構造は、自己と他者との区別が完全に混乱しており、自我同一性の統合度に欠けている。現実と想像との区別もはっきりせず、現実検討能力を欠いてしまっている。防衛機制は分裂をベースとした低次の原始的防衛機制を用いる。葛藤は内面に保持されず、幻覚、幻聴、妄想などで外界に排出される。
確認問題
[1]
(1)は精神分析家で、境界パーソナリテイ構造の概念や人格構造を神経症性水準、境界性水準、精神病性水準に分類した業績が評価されている。
(帝塚山学院大学大学院 人間科学研究科 臨床心理学専攻)
解答
[1]
1、 カーンバーグ