ポイント
人間の記憶は、その保持時間の長さに基づいて、短期記憶、長期記憶に区分することができる。
短期記憶
短期記憶とは、感覚情報が意味処理され、認知作業のために保管された一時的な記憶のことである。この短期記憶に一時的に保管された情報を用いて、様々な作業を行ったり、課題を解決したりすることが可能となる。記憶容量は7± 2チャンクとされており、保持時間は数秒から30秒と長くはない。そのため、長期記憶として保持しておくためには、頭の中で短期記憶の情報を復唱するリハーサルとよばれる処理が必要となる。
短期記憶に一度に保存できる情報の量には限度があり、だいたい7±2項目と言われている。この7という限界は単に7個というのではなく、情報の意味のあるまとまりが7つということであり、この意味のあるまとまりのことはチャンクと呼ばれる。これはミラーによって提唱された。マジカルナンバーともいわれる。
短期記憶に保持される情報は、いつも意識化された状態にあると考えられる。そして,短期記憶に入った情報は、とくに何も操作が加えられない限り、数秒から30秒程度しか保持されない。そのため、たとえば電話帳で番号を調べて電話をかけるときに、メモに番号を控えておかなかったなら、調べた直後では覚えているが、別の用件を済ませた後ではもはや番号がわからなくなってしまうのである。ただし、その情報を繰り返すという操作を続ければ(声に出しても、心の中だけで繰り返してもよい)、その操作を続けている限り情報は失われない。 このような情報を繰り返すという操作はリハーサルと呼ばれている。
短期記憶に情報を保持し続けるための、単に情報を復唱するだけのリハーサルは、 とくに維持リハーサルと呼ばれる。 なお、最近の研究からは、暗算をしたり、推論を行ったりする際に用いられる短期記憶の機能に注目して、日常の活動を積極的に支えている短期記憶を作動記憶(ワーキングメモリー)と呼ぶ場合がある。
確認問題
[1]
短期記憶の容量は、有意味な情報の最小単位をチャンクと呼ぶとするならば、一般的には、何チャンク程度か。最も適切なものを一つ選びなさい。
(帝京平成大学大学院 臨床心理学研究科 臨床心理学専攻)
1、1
2、3
3、7
4、10
5、20
[2]
リハーサルには、反復による保持を行う(1)と意味的な処理にかかわる(2)がある。
(法政大学大学院 人間社会研究科 臨床心理学専攻)
解答
[1]
3
[2]
1、維持リハーサル
2、精緻化リハーサル