効果量(effect size)
ポイント
効果量(effect size)
効果量とは、標本数の大きさに依存しない指標であり、またその関連や効果の大きさの程度を表すことができる効果量の指標としては大きくわけると、差の大きさを表す指標(d)と、関連の大きさを表す指標r)の2つがある。なお、rは相関関係の表す指標である。
確認問題
[1]
心理学において、ある処遇あるいは処置の効果研究をする場合、統計的に有意な効果があったかどうかを報告だけではなく、効果の大きさ(effect size)を報告することが望ましい。特に、このような効果研究の知見を応用する場合には重要なことである。その理由を、具体的な例をあげて説明しなさい。
(名古屋市立大学大学院 人間文化研究科 人間文化専攻)
[2]
近年心理学における推測統計の扱いに変化がみられ、検定統計量やその統計的有意性(p値)の報告を重視したものから、母数推定による効果量の報告が重視されるものになっている。そこで、以下の4つの用語も用いながら、心理学研究における統計的仮説検定と母数推定について簡明に論じなさい。
用語:①「サンブルサイズ」②「臨床的有意性」③「信頼区間」①「非劣性試験」
(静岡大学大学院 人文社会科学研究科 臨床人間科学専攻)
解答
[1]
ある処遇あるいは処置の効果研究をする場合、統計的に有意な効果があったかどうかを報告だけではなく、効果の大きさ(effect size)を報告することが望ましい理由は、統計的仮説検定はサンプルサイズに大きく左右されるが、効果量は基本的にサンプルサイズに左右されないためである。t検定などにおいては、相関係数rなどが効果量にあたる。
[2]
統計的仮説検定の結果はサンプルサイズに大きく左右されるが、効果量は基本的にサンプルサイズによって左右されない。サンプルサイズ(抽出した標本の個数)が少ないほど、データから算出された値とその母数との差が大きくなる可能性が高くなり、信頼区間の幅が広くなり、データから算出された効果量の値に基づいて母集団における効果量を推定する際の精度が低くなる。 非劣性試験は、実験群が統制群よりも優れていなくても、劣っていることが証明されなければよしとする。つまり、信頼区間の片側にのみ注目する。