ポイント
第1種の過誤(type I error)/ 第2種の過誤(type II error)
第1種の過誤(type I error)
本当は帰無仮説(〜には差がない)が正しいにも関わらず、帰無仮説を棄却し、対立仮説(〜には差がある)を採択してしまう誤り。
ex.
本当は植物のある部屋とない部屋のどちらで勉強しても成績に差はないのに、
植物のある部屋の方が成績は上がると結論付けた。
第2種の過誤(type II error)
本当は帰無仮説(〜には差がない)が誤りにも関わらず、帰無仮説を採択する誤り。
ex.
本当は植物のある部屋で勉強したほうがない部屋で勉強するよりも成績が高くなるにも関わらず、どちらで勉強しても成績に差はないと結論付けた。
グラフで考える
H0:帰無仮説
H1:対立仮説
第1種の過誤(α/2):帰無仮説H0が正しいのに、棄却し、対立仮説H1を採択してしまう誤り。
第2種の過誤(β):帰無仮説H0が誤りなのに、帰無仮説を採択する誤り。
検出力(1-β):1ー(第2種の過誤)
確認問題
[1]
統計的な誤りには、データの偏りが偶然ではないのに偶然だと結論してしまう場合とデータの偏りが偶然なのに偶然ではないと結論してしまう場合がある。後者を(1)という。その確率は設定した(2)と同じである。
(桜美林大学大学院 心理学研究科 臨床心理学専攻)
[2]
統計的仮説検定について説明するための下記の図について、以下の4点について答えなさい。
① 横軸と縦軸はそれぞれ何を意味するのか。
② H0の曲線とH1の曲線はそれぞれなにを意味するか(ヒント:いずれも上記横軸の母数の値がある特定の値をとった場合の分布を示している)。
③ 1-βは何を意味するか。
④ どのような場合にどのような結論を導くのか。1-βが適切な値となるようにサンプルサイズを決め、適切なサンプルサイズの標本のデータで検定を行った場合について答えなさい。
(静岡大学大学院 人文社会科学研究科 臨床人間科学専攻)
解答
[1]
1、第一種の過誤
2、有意水準
[2]
①
横軸:(検定)統計量
縦軸:標本数(またはその統計量の数値の出現確率)
②
H1の曲線:対立仮説(alternative hypothesis)帰無仮説が真の場合の、その統計量が出現する確率の分布
H0の曲線:帰無仮説(null hypothesis) 対立仮説が真の場合の、その統計量が出現する確率の分布
③
1-β:検出力
④
1-βが適切な値となるようにサンプルサイズを決め、適切なサンプルサイズの標本のデータで検定を行った場合について答えなさい。 算出された統計量の有意確率(p値)が、有意水準よりも小さい場合は、帰無仮説を棄却し、対立仮説を採択する。統計量の有意確率が、有意水準よりも大きい場合は、帰無仮説を採択する。