ポイント
「国際疾病分類(ICD)」の補助として発表した「WHO国際障害分類(ICIDH)が用いられてきたが、WHOでは、2001年5月の第54回総会において、その改訂版として「ICF(International Classification of Functioning, Disability and Health)」を採択した。
確認問題
[1]
2001年のWHO(世界保健機関)総会で採択されたICF(国際生活機能分類)における障害の捉え方を説明し、それまでのICIDH(国際障害分類)における捉え方とどのような違いがあるか述べなさい。
(名古屋市立大学大学院 人間文化研究科 人間文化専攻)
[2]
下記の用語について正式名称を英語または日本語で答え、簡潔に説明しなさい。
・ICF
(静岡大学大学院 人文社会科学研究科 臨床人間科学専攻)
解答
[1]
ICF(国際生活機能分類)は、人間の生活機能は、「心身機能・身体構造」、「活動」、「参加」の三つの要素で構成されており、それらの生活機能に支障がある状態を「障害」ととらえている。それまでの、ICIDHでは、障害を機能障害(impairment)、能力障害(disability)、社会的不利(handicap)の三層で把握するモデルを提示した。 ICIDH(国際障害分類)は、機能障害(impairment)、能力障害(disability)、社会的不利(handicap)の三層で把握するため、マイナス面だけを強調しかねない障害の捉え方であった。しかし、ICF(国際生活機能分類)は、人間の生活機能それぞれのどこかに支障がある場合を障害と捉えることで、マイナス面だけでなく、他の点にはこういうプラスなところがあると把握することができる。
[2]
国際生活機能分類(International Classification of Functioning, Disability and Health)とは、世界保健機関が2001年5月22日の世界保健総会において、国際障害分類(1980年採択、International Classification of Impairments, Disabilities and Handicaps; ICIDH)の改訂版として採択、加盟国に勧告している、健康状態、心身機能、障害の状態を相互影響関係および独立項目として分類し、当事者の視点による生活の包括的・中立的記述をねらいにする医療基準。