世界一わかりやすい心理学

ー未来の心理職の為の知識・情報室ー

心理的危機と再適応のプロセス

f:id:a-m-zyozo:20201031154919p:plain

 

 

ポイント

 

 

心理的危機と再適応のプロセス

 

コーン(N. Cohn)

コーン(N. Cohn)は「ショック」「回復への期待」「悲嘆」「防衛」「適応」という5段階を示している。

 

フィンク(Fink

フィンクは「衝撃」「防衛的退行」「承認」「週応」という4段階を示している。

 

 

コーン(N. Cohn)およびフィンク(Fink)いずれの理論においても、適応(受容)に至るプロセスは一方通行ではなく、行きつ戻りつすることを想定しているし、そのプロセスに個人差があることを述べている。

 

 

B.Wrightの価値転換理論

B.Wrightは主に身体障害者の障害受容に関する研究を行い、障害受容とは、障害が日常生活において制約をもたらすものでありながらも、自身の全体の価値を損なうものではないと認識することであると考えた。

「価値範囲の拡大」とは、障害によって失った価値以上に、自身には多くの価値があると情動的に認識することである。

「障害の与える影響の抑制」とは、障害によって一部の能力に制限をもたらすものではあるが、自身の全体的な能力が低下することではないと認識することである。

「身体の外見を従属的にすること」とは、身体的な外見よりも、内面的な価値が人間として重要だと理解することである。

「比較価値から資産価値への転換」とは、自身の価値を他者との比較から判断するのではなく、自分自身の価値そのものに目を向けることである。

 

 

 

例題

 

[1]

中途障害者の障害受容について、正しいものを1つ選べ。

① 他責を示すことはない。
② 一旦前進し始めると、後退することはない。
③ 他者や一般的な価値と比較して自分を評価することが必要である。
④ 障害によって自分の価値全体を劣等だと認知することが必要である。
⑤ ショック期の次の期では、障害を認めつつも、一方で回復を期待した言動がしばしばみられる。

公認心理師試験 第1回 問21)

 

 

解答

 

[1]

5

 

① 他責を示すことはない。
② 一旦前進し始めると、後退することはない。
③ 他者や一般的な価値と比較して自分を評価することが必要である。
④ 障害によって自分の価値全体を劣等だと認知することが必要である。
⑤ ショック期の次の期では、障害を認めつつも、一方で回復を期待した言動がしばしばみられる。