服従(obedience)
服従(obedience)
服従とは、権威者からの命令や指示に従うことである。
ミルグラム(Milgram, S.)の実験が有名である。
ミルグラム(Milgram, S.)の実験
実験では権威者(実験者)から自身の良心に反する様な指示を受けた際に、どの程度まで服従するかが調べられた。「記憶に関する実験」の参加者募集として集められた真の被験者は「教師役」を割り振られ、罰の学習への影響を調査するため、「生徒役」の被験者(サクラ)の問題への誤解答の罰として電気ショックを与えることが求められた。この時、電気ショックのレベルは誤解答毎に1段階(15V)ずつ上げていくよう教示された。教師役が罰の電気ショックを与えることを躊躇した場合、実験者より教師役に対し実験を続ける旨の冷静な促しが行われた。この結果、最終的には実験開始前の予測に反し、40人の真の被験者の内25人(62.5%)が最高の450Vまで電気ショックを与え続ける結果となった。ミルグラムはこの実験により、閉ざされた環境や役割などの一定条件下において、一般的な人々が権威者の指示に「服従」し、非人道的な行為を行う可能性が存在することを実証的に示した。
トークン・エコノミー法(token economy technique)
ポイント
こどもの学習行動を増やすために、宿題や計算課題、漢字の書き取りなどを一定時間行うたびにスタンプを押し、一定量のスタンプを集めると好きなお菓子をもらえたり、遊園地に行けたりするなどの手続きをおこない、学習行動を増やしていった。このよう に望ましい行動を示した際に正の強化子である代用貨幣のトークンを与えることでその行動の強化・増大を図る技法を「トークン エコノミー」という。
確認問題
[1]
「トークン・エコノミー法」について、説明しなさい。
(名古屋市立大学大学院 人間文化研究科 人間文化専攻 臨床心理コース)
解答
[1]
望ましい行動が生起したときに、代用貨幣(トークン)を与え、その行動の出現頻度を高める技法。そのトークンは集めると報酬と交換できる。
嫌悪条件づけ(aversive conditioning)
嫌悪条件づけ
電気ショック、催吐剤あるいは悪臭を放つ化学薬品、あるいは嫌悪的なイメージなどの嫌悪刺激を無条件刺激(US)とした古典的条件づけ手続きによってある特定の対象なりイメージ等に嫌悪感を形成することを嫌悪条件づけという。
古典的条件づけにおいて嫌悪刺激を対提示することで、ある刺激に対する嫌悪感情を誘発させる条件づけのこと。嫌悪条件づけを用いた行動療法に嫌悪療法があるが、これらはアルコール依存症などの不適応行動の除去に利用されている。
初期経験(early experience)
ポイント
初期経験(early experience)
初期経験とは発達に大きな影響を及ぼす出生直後の特殊な経験のことで、初期学習、初期刺激づけともいう。
臨界期(critical period)
初期経験が成立する出生直後のごくわずかな時期のことを「臨界期」(敏感期)と呼ぶ。
その他の生物に対しても、ある特性を学習するための限定された期間があるという臨界期の仮説がたてられている。例えば人間においては言語の習得に関しての臨界期の仮説がある。
刷り込み(imprinting)
もっとも有名なのが、ローレンツ(Lorenz,K.Z.)によって詳細に報告された、カモがふ化した直後に見た大きな対象について行く現象がある。これは「インプリンティング(刻印づけ・刷り込み)」という。孵化直後の36時間前後しか起こらないとされている。
確認問題
[1]
下記の用語を簡単に説明しなさい。
・刷り込み
(愛知教育大学大学院 教育学研究科 教育支援高度化専攻 臨床心理学コース)
解答
[1]
ローレンツによって詳細に報告された、カモがふ化した直後に見た大きな対象について行く現象のことである。