ポイント
ハーローの代理母実験生後間もないアカゲザルを母親から離し、柔らかい布製の代理母とミルクを飲むことが可能な唯乳瓶を備えた針金製の代理母を設置した艦の中で飼育した。その結果アカゲザルは布製の代理母の周囲にいたり、しがみついている時間の方が多いことが観察された。このことから愛着の形成には、生存に必要なミルクという報酬よりも、柔らかい布などに触れる快い感触(これをハーロウ(Harlow、H. F.)は接触の快(contact comfort)と呼んだ。)の重要性、つまりスキンシップの重要性を示唆した。
Halow、H.Fの子ザルの実験では、子ザルが代理母である接触する対象物の質感の相違により、反応が異なることが観察された。
確認問題
[1]
ハーロー(Harlow、H.)は、アカゲザルの赤ちゃんを使って針金製代理母親と布製代理母親のどちらを好むかという実験をしたが、それによって明らかになった知見を述べなさい。
(駒沢女子大学大学院 人文科学研究科 臨床心理学専攻)
解答
[1]
ハーローは、アカゲザルの赤ちゃんを母親から引き離し、針金でできていてミルクが出る代理母と、ミルクの出ない布製の代理母のどちらを好むかを観察した。ハーローの実験によると、アカゲザルの赤ちゃんは、布製の代理母に抱きつき、おなかがすいたときにのみ隣に身体を伸ばしてミルクを飲んだ。この実験は、アカゲザルの赤ちゃんが、栄養だけを与えてくれる冷たいものよりも、栄養を与えてくれなくても温かみのある柔らかいものの方を好むことを示した実験と評価されている。