世界一わかりやすい心理学

ー未来の心理職の為の知識・情報室ー

多変量解析(multivariate analysis)

f:id:a-m-zyozo:20201031154919p:plain

 

 

 

ポイント

多変量解析

多くの変数を同時に分析する統計手法のこと。心理学でよく使う質問紙は、多くの質問項目から構成されている。各質問項目はそれぞれ変数であるため、質問紙とは多くの変数から構成されていると言える。心理学では、質問紙の各質問項目の平均値などを1つずつ見てそこから結論を薄くというよりも、全質問項目を同時に分析する多変量解析を用途に応じて使用することが多い。

 

因子分析(factor analysis)

因子分析は、多変量解析の一種で、直接観測することのできない潜在変数が、観測できる変数に影響していると仮定し、その譜在変数を見つけ出す手法である。特に心理学では、因子分析の開発によって、知能研究や性格研究発展してきたという歴史がある。

 

重回帰分析(multi-regression analysis)

複数の説明変数(独立変数)のうち、基準変数(従属変数)に影響を与えている変数はどれか、また影響している場合はその強さを調べ、基準変数の予測するための予測式を明らかにするための統計手法。

 

 

確認問題

[1] 因子分析について説明しなさい。

岐阜大学大学院 教育学研究科 心理発達支援専攻)

 

[2]

因子分析の結果を論文に記載する場合には、因子の推定ならびに因子回転の方法、回転後の因子負荷量、(1)(2)など、また、斜交回転の場合には(3)の表が必要である。

東京女子大学大学院 人間科学研究科 人間社会学専攻)

 

[3]

モデルとして世界で成功したかどうかについて、年間のフアッションショーに出る回数でみるとしよう。その回数は、身長、体重、腹筋カ、社交性、語学試験の点数によってどの程度正確に予測できるか、また、これら5つの要因の中で最も予測力が大きいのは何かを調べベるために(1)を行った。この分析でR^2は(2)とよばれ、説明変数に関する情報があった場合に、どのくらい予測変数の値を予測できるかという予測の精度を表すものである。これは、1に近いほど予測精度が高いことになる。また、各説明変数の影響力は(3)によって判断できる。

東京女子大学大学院 人間科学研究科 人間社会学専攻)

 

[4]

因子分析は、大きく分けると探索的因子分析と(1)因子分析に分けられる。

名古屋市立大学大学院 人間文化研究科 人間文化専攻)

 

[5]

因子分析における共通性と独自性について説明しなさい。さらに、因子分析の対象となった各変数の分散との関係も示しなさい。

 (名古屋市立大学大学院 人間文化研究科 人間文化専攻)

 

 

解答

 

 [1]

因子分析とは多変量解析の一種で、直接観測することのできない潜在変数(因子)が、観測できる変数に影響していると仮定し、その潜在変数を見つけ出す手法である。特に心理学の分野では、因子分析の開発によって知能研究や性格研究が発展してきたという歴史がある。

因子分析は大きく分けて探索的因子分析検証的因子分析がある。探索的因子分析とは、特に明確な仮説や理論的な基盤を持たずに観測変数に影響を及ぼす因子を探索的に求めようとする方法である。一方、検証的因子分析とは、事前の知見から考えられる因子構造(因子数や因子負荷量)を検証的に確認する方法である。因子負荷量により、因子分析において因子が観測変数に与える影響の強さを判断することができる。 

 

 [2]

1、因子寄与率

2、共通性

3、因子間相関

 

[3]

1、重回帰分析

2、重決定係数

3、 標準偏回帰係数

 

 [4]

1、検証的因子分析(CFA:confirmatory factor analysis)

 

 

 [5]

共通性は、項目の分散のうち因子によって説明される部分の比率0〜1の値を取り、もし1であれば因子によって説明される部分が100%であることを示す。共通性とは逆に、因子によって説明できない部分のことを独自性と呼び、両者を足すと1になる 「共通性」が出力される。 因子分析は「共通因子」を探るために行う。 共通性とは,各測定値に対して,共通因子の部分がどの程度あるのかを示す指標である。 なお,「初期」と「因子抽出後」の共通性が出力されているが,「バリマックス回転」などの「回転」を行った場合には「因子抽出後」を見るとよい。 共通性は原則として最大値は1となる(そうならないケースもある)。 1から共通性を引いた値が「独自性」になる。 「外向性」の独自性は1-.536=.464になる。 共通性が大きな値を示している測定値(ここではそれぞれの項目)は,共通因子から大きな影響を受けているという(独自因子の影響力は少ない)ことになり,逆に小さな値を示している測定値は,共通因子からあまり影響を受けていない(独自因子の影響力が大きい)ということになる。