強化と罰(reinforcement / punishment)
ポイント
正と負
正は与える。負は取り除く。(望ましいか不快かは関係ない)
強化と弱化(罰)
強化は行動出現頻度を増やす。弱化(罰)は減らす。
強化
「強化」とは自発的行動の頻度が上昇することである。
望ましい適切な行動に対して、報酬を与えることによって、その行動の出現頻度を高める方法を強化法と呼ぶ。
罰
反応頻度が増することを強化というのに対し、頻度が減少することを罰という。
弱い罰から始め、次第に強くしていくと、どんなに強力な罰でも反応の抑制効果が弱められる。罰を与えると決めたら、適度な強度の罰を最初から与えなければならない。
正の強化
反応頻度が高まることを強化というが、タブー語を言って母親から叱られた子どもがますますタブー語を言うようになったのであれば、 これは正の強化といえる。
負の強化
いつも朝寝坊をする子どもが母親に叱られたくないから早起きをするようになった場合は負の強化であるといえる。
正の罰
タブー語を言って母親から叱られた子どもが母親の前でタブー語を言わなくなった場合、これを正の罰という。
負の罰
オペラント行動の後に、報酬刺激を除去することで行動頻度が現象すること。
cf.
タイムアウト法
友達とおもちゃをめぐってけんかをした幼児を誰もいない部屋に一人で隔離するというようなやりかたは負の罰であるが、これをタイム・アウト法という。
嫌悪性制御
正の罰と負の強化では嫌悪刺激を用いて反応の生起頻度を変化させようとすることを嫌悪性制御という。
部分罰
罰を与えたり与えなかったりする部分罰は反応抑制効果を激減させ、罰せられる反応と罰とを結びつけて学習することを困難にさせる。
遅延罰
反応して時間が経ってから罰を与える「遅延罰」は効果がないため、罰は反応の直後に与えた方がよい。
即時強化
即時強化とは、強化子の呈示のしかたとして、時間が経ってから呈示するよりも反応の直後に呈示する方が効果的であることをいう。
子どもがぐずったときに叱ったり、アメをあげたりするのは嫌悪刺激と正の強化子を同時に呈示していることになり、葛藤を引き起こしたり、ぐずるという反応を増加してしまう場合がある。
トールマン(Tolman, E.C.)/ 迷路学習と認知地図
ネズミを用いた迷路学習の実験の結果、認知地図を形成し潜在学習をしていると考えた心理学者はトールマン(Tolman, E.C.)である。
認知地図は、学習によって形成された空間関係の表象のことである。
認知療法(cognitive therapy)/ 認知行動療法の第2世代
ポイント
認知療法は、認知行動療法の第二世代と考えられており、論理情動行動療法・認知療法・自己教示訓練法が認知療法に当てはまる。
論理情動行動療法(rational emotin behavior therapy)/ エリス(Ellis, A)
論理療法はのちに論理情動行動療法と呼ばれるようになる。エリス(Ellis, A)により1955年に提唱された
ABCモデルを用いて、クライエントの問題を証明する。ABCモデルは、出来事(A:activating event)から生じる結果(C:consequence)は、その出来事を受けとる際の考え方である信念(B:belief)によって変わり、その信念が不人理な場合に不適応が生じやすいと考える(ABC理論またはABCスキーマ)理論である。信念に変化をもたらすことで、悩みを和らげようとする。
認知療法(cognitive therapy)/ ベック(Beck, A.T)
1960年代にベック(Beck, A.T)が精神分析を離れ、認知療法を体系化した。
セラピストはクライエントの自動思考の妥当性を推察し、適応的な思考に修正できるように働きかける。この一連の手続きは、認知再構成であり、いくつかの技法を用いて認知再構成を目指す。
cf.
自動思考(automatic thought)は、認知療法のA.ベックにより提唱された概念。自分の意思とは関係なく頭の中に自動的に想起される考えやイメージ、考え方のくせなどのこと。自動思考の背景にはスキーマが開わっている。そこで、自動思考に注意を向けてそれを変えていくことで、不適応な感情や行動を軽減できると考える。
自己教示訓練法(Self-instructional Training)/ マイケンバウム(Meichenbaum,D.H)
マイケンバウムにより提唱された。
自分自身に教示を与えることでそれが刺激となり、自己の行動を変容させる技法(自己教示)を用いる心理療法である。
確認問題
[1]
Beck,A.Tについて簡潔に説明しなさい。
解答
[1]
Beck,A.Tは、精神分析を離れ、認知療法を体系化した精神科医である。認知療法は認知行動療法の第二世代と考えられている。認知療法は、セラピストはクライエントの自動思考に注意を向けて、適応的な思考に修正できるように働きかける。この一連の手続きは、認知再構成であり、いくつかの技法を用いて認知再構成を目指す。
ナラティヴセラピー(Narrative therapy)
ポイント
ナラティヴセラピー(Narrative therapy)
ナラティヴセラピーは物語療法とも言われる。
家族療法の領城で有力となってきた臨床実践であり、社会構成主義をその理論的基礎としている。
ナラティヴセラピーは、古い固定した自己物語を捨て、新たな自己物語を語ることによって、新たな現実を再構成することを行う心理療法である。
ドミナントストーリー
ドミナントストーリーは、ある人がこれまでの人生の中で繰り返し語ってきた自分の問題や悩みが染みこんだ物語のことである。
オルタナティヴストーリー
オルタナティヴストーリーは、ユニークな結果を見つけだすことで、ドミナントストーリーの信愚性や一貫性に亀裂が入り、やがて崩壊し、その後に現れてくる新しいストーリーである。
確認問題
[1]
ナラティブセラピーの基本特徴について述べなさい。
解答
[1]
ナラティブセラピーは、家族療法の領城で有力となってきた臨床実践であり、社会構成主義をその理論的基礎としている。ナラティヴセラピーは、古い固定した自己物語を捨て、新たな自己物語を語ることによって、新たな現実を再構成することを行う心理療法である。
ソーシャルスキル・トレーニング(SST:social skill training)
ポイント
ソーシャルスキル・トレーニング(SST:social skill training)
ソーシャルスキルの知識の提供、クライエントによる実践、セラピストのフィードバックという一連の流れでソーシャルスキルを身につけていく治療法。
基本訓練モデルは、①練習課題と練習場面の設定、②予行演習のロールプレイ、③良い点と改善点を挙げる(正のフィードバック)、④改善点に基づくロールプレイ(モデリングとリハーサル)、⑤さらに良い点を挙げ宿題設定
ロバート・ポール・リバーマン(Robert Paul Liberman)により考案された。
SSTは認知行動療法(CBT)の1つと位置づけられ、社会的学習理論に基づいたアプローチである。
確認問題
[1]
ソーシャルスキルトレーニングの考え方と具体的方法について述べなさい。
解答
[1]
ソーシャルスキルトレーニングの考え方は、社会的学習理論に基づいている。社会的学習理論は、認知的要因が行動の生起に影響を与えるという考えをもつ。ソーシャルスキルトレーニングの具体的方法は、ソーシャルスキルの知識の提供、クライエントによる実践、セラピストのフィードバックという一連の流れをおこなう。