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推測統計(inferential statistics)

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ポイント

 

推測統計(inferential statistics)

観察したデータから母集団の特徴や傾向についての推測を行うための統計手法。*収集したデータは標本(sample)と呼び、特定の母集団(population)から抽出されたものである。*理想的には標本抽出は無作為抽出(random sampling)が望ましい。

 

統計的検定

母集団全体の一般的傾向として、2つ以上の条件の変数の数値の差があるかどうかを確率論的に判断するための分析。有意性検定・有意差検定ともいう。

 

統計的検定の一般的な手続き

1.研究仮説(対立仮説)を立てる研究者のその研究で主張したい仮説。通常「〜条件と〜条件の間には差がある」という形形になる。

2.帰無仮説(null hypothesis)を設定する研究仮説とは逆の仮説。通常「〜条件と〜条件の間には差がない」という形になる。

3.有意確率の計算をする

得られたデータが帰無仮説で説明できる確率を有意確率と呼ぶ(「データの差が偶然によって起こる確率」ともいえる)。有意確率が小さいほど、データの差が偶然によって起こる確率は小さい、つまりデータの差が偶然によるものではないということになり、対立仮説を採択することになる。この際、慣習的に有意確率は5%以下(p <0.05)であれば帰無仮説を棄却し、対立仮説を採択する。このp <0.05といった帰無仮説を棄却する基準のことを有意水準と呼ぶ。

 

確認問題

[1]

下記の用語を簡単に説明しなさい。
・null hypothesis

花園大学大学院 社会福祉学研究科 社会福祉学専攻)

 

[2]

統計的仮説検定においては、本来主張したいこととは反対の内容を述べる()仮説を立て、その仮説が真であると判断するには不合理なデータが得られていないかを検討する。

昭和女子大学大学院 生活機構研究科 心理学専攻)

 

[3]

統計的検定の一般的な考え方では、2群の平均値に差があるということを主張したい場合、両群の平均値に差がないという(a)仮説をたて、その仮説のもとでは、得られた実験結果がめったに起きないということから、(a)仮説を(b)することで、差があることを問接的に主張しようとする。つまり、2つの群の平均値に差があることを直接証明していないので、(a)仮説が間違いであると言いきれず、結論に誤りが起きる可能性がある。ここで、(a)仮説が正しいのにそれを問違いとしてしまう誤りを(c)エラーといい、(a)仮説が問違いであるのに、その仮説を採択してしまう誤りを(d)エラーという。

名古屋市立大学大学院 人間文化研究科 人間文化専攻)

 

[4]

統計的仮説検定について説明するための以下の図について、 ①横軸は何を意味するか、②縦軸とグラフの曲線は何を意味するか、③どのような場合にどのような結論を導くのか、について説明しなさい。

静岡大学大学院 人文社会科学研究科 臨床人間科学専攻)

 

 

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[5]

次の用語のうち、推測統計に関わりのないものはどれか、もっとも適切なものを一つ選びなさい。

1帰無仮説 2.最題値 3.標本 4.母集団

静岡大学大学院 人文社会科学研究科 臨床人間科学専攻)

 

 

解答

[1]

帰無仮説。研究者が証明したい仮説である研究仮説(対立仮説、作業仮説とも言う)を否定する仮説のこと。通常統計では、この帰無仮説が棄却されることによって、研究仮説が支持されたとする。


[2]

帰無仮説

 

[3]

a,帰無

b,棄却

c,第1種の

d,第2種の

 

[4]

統計量

縦軸は、横軸の統計量を取りうる標本数であり、グラフの曲線は、特定の統計量を取りうる標本数の分布を意味している。

1-α:採択域の場合、帰無仮説を採択する

α/2:棄却域の場合、帰無仮説を棄却し、対立仮説を採択する。

 

[5]