ポイント
精神保健及び精神障害者福祉に関する法律
精神保健と精神障害者福祉について規定した日本の法律である。精神保健福祉法と略される。目的は、精神障害者の医療・保護、その社会復帰の促進・自立と社会経済活動への参加の促進のための必要な援助、その発生の予防その他国民の精神的健康の保持及び増進により、精神障害者の福祉の増進・国民の精神保健の向上を図ることにある
精神保健指定医(Designated Physicians of Mental Health)
精神保健指定医とは、精神保健及び精神障害者福祉に関する法律(精神保険福祉法)第18条に定める、医師の国家資格である。単に「指定医」とも。精神医療における非自発入院の判定を独占的に行える者とされている。
精神保健福祉法に基づく精神科の入院形態
自発的入院
任意入院
精神保険福祉法では任意入院と言われる。主に開放病棟で治療が行われる。本人が入院に同意することが条件である。
→本人の同意
非自発的入院
非自発的入院には、医療保護入院、応急入院、措置入院、緊急措置入院が該当する。
医療保護入院
家族等の同意と精神保険指定医の診察に基づいて、本人の意思によらず、強制的に入院させる制度。
→家族の同意+精神保健指定医
措置入院
自傷他害のおそれがある精神障害者を都道府県知事の権限で精神科病院に強制的に入院させる制度。精神障害の疑いがある者を発見した者の通告ののち、2名以上の精神保健指定医の診察を行い、措置入院が必要と判断が一致したら、入院させることができる。
緊急措置入院
精神障害者による突発的な事故や自殺を防ぐため急を要し、正規の手続き省略して1名の精神保健指定医の診察で72時間に限り入院させることができるのが緊急措置入院である。
応急入院
72時間に限り、家族等に連絡が取れない、かつ自傷他害のおそれがない場合は、本人の同意がなくとも応急入院指定病院に入院させることができる。
→上記のどれにも該当しないが誰かの依頼あり+精神保健指定医+72時間以内
問題
[1]
精神保健及び精神障害者福祉に関する法律〈精神保健福祉法〉に基づく処遇について、正しいものを2つ選べ。
① 措置入院では手紙の発信が制限される。
② 任意入院の際は精神保健指定医の診察を要しない。
③ 患者を隔離する際は精神保健指定医の診察を要する。
④ 治療上の理由があれば、複数の患者を同じ病室に隔離することができる。
⑤ 身体的拘束を行った場合は、身体的拘束を行った旨、身体的拘束の理由、開始と解除の日時などを精神保健指定医が診療録に記載する。
(公認心理師試験 第1回 問58)
解答
[1]
2, 3, 5 ※公式の発表により正答が3つであるとされた。
1, × の外部との通信については、医療保護入院と措置入院はほぼ同一で、電話や面会は必要に応じて制限できる。一方、手紙については一切制限できない。
2, ○任意入院は本人の意思・同意によるので、精神保健指定医の診察は不要。
3, ○患者の隔離・行動制限などの場面では、精神保健指定医による判断が必要。
4, ×複数の患者を同じ病室に隔離するのは危険と考えるのが自然。
5, ○身体拘束は漫然と行われると重大な人権侵害となるため、必要性の十分な検討が必要であるとともに、記録を残すことが必要である。