心理面接とインフォームドコンセント r4
r4
ポイント
心理面接の過程
申し込み
クライエントによる申し込み。または、医師や行政から依頼。
インテーク面接(受理面接/初回面接)
インテーク面接では、質問や観察を通して情報収集を行う(参照:アセスメント方法)・クライエントとの初めての面接であり、「ラポール」の形成を行う。・主訴や来談経緯を聴くことから始める。情報収集を早まらず、漏れの無い収集よりも、「クライエントの話の流れを損なわないこと」を重視する。・面接結果に基づき、面接継続か「リファー」の判断を行う。
査定面接・心理検査
査定面接ではクライエントのパーソナリティや行動特徴などを多面的に評価する。面接や心理検査を通して、クライエントの不適応的な側面と健康的側面(ストレングス)、及び潜在的な可能性も評価し、全人格的理解を試みる。(参照:テストバッテリー留意点)。
治療契約の締結
査定面接に基づく所見をクライエントに伝え、治療方法や時間、料金などの治療構造のインフォームド・コンセントを得て、治療契約を結ぶ(作業同盟)。
治療面接
心理的介入を行う。(心理療法カウンセリング)見立て(仮説)を検証し、修正しながら介入を行っていく。必要な関係者他職種との連携を行う。
中断(ドロップアウト)
治療目標を達成せずに、様々な要因によって途中で面接が打ち切られてしまう「中断(ドロップアウト) 」という形で終わることも多い。面接の中断の理由としては、双方の「病気や転勤」、クライエントの「動機付けの低さ」、「不信感、抵「抗」、「症状や行動パターン」、「自立の試み(特に思春期や青年期)」などが挙げられる。
終結
治療目標の達成できた場合は、クライエントとの合意によって面接を終結する。終結に向けて、「これまでの面接に関する見解、終結に対するクライエントの感情や考え、終結後の相談について」などをクライエントと話し合う。見捨てられ感を抱かないように「開かれた終結」(いつでも相談に来れる形での終結)を行う事に留意する。
インフォームド・コンセント
インフォームド・コンセントとは
説明と同意。つまり、心理面接においてはクライエントが心理的援助の内容に関する十分な説明を受けて、それを理解した上で自由意志に基づきそれに同意すること。
インフォームド・コンセントの目的
インフォームド・コンセントでは、治療を受けるかどうかを決定するにあたって3つの要素が要求される。第1は医師からの情報が開示されること、第2に、自発的な選択ができるような環境でなされること、第3に、患者に治療を受けるかどうかを判断する能力が備わっていることである(北村北村・塚田・加藤、2006)。これらの要件は、治療関係のあり方に関する原則であり、医師と患者の対話を通して治療関係をより信頼のあるものとし、共同の意思決定を行うことで患者自身が主体的に治療に取り組んでいくことを目的とする(中島、1995)。医師と患者との間に存在する情報の差を可能な限り縮小させ(五十嵐、2004)、最終的には、実際に治療を受ける患者自身の意思や価値観などに基づいた患者の自己決定権が優先されなければならない(金沢、2006)。心理臨床家の行うインフォームド・コンセントの目的も医療における目的と変わることはない。クライエントが自己決定できるように十分な情報を伝達し自己決定の上でクライエントが主体的に臨床心理学的援助に取り組めるように支持する。
インフォームド・コンセントの内容
インフォームド・コンセントは一般に医師による治療について行うものであり、その内容は、検査や治療についての目的や内容病状と診断結果(病名)、治療方針、治療内容(投薬内容など)、予測される死亡や身体障害のリスク、見通し(予後)、検査や治療行為に伴って生じる生活上の変化、治療のために利用可能な各種の保健福祉サービスについての情報、かかる費用などである(志自岐、2006)。これらは方針を自己決定するために必要とされる情報であり、患者は説明を元に自身の価値観に基づいて方針を選択する。心理臨床家の行うインフォームド・コンセントの内容も医師が行うものと本質的に異なるものではない。
金沢(2006)は心理面接におけるインフォームド・コンセントの具体的内容として、
援助の内容・方法について(援助の効果とリスク、援助を行わない場合のリスクと益など)、
秘密保持について(秘密の守られ方とその限界についてなど)、
費用について(費用と支払い方法など)、
時間について(時間帯・相談時間、場所、機関など)、
心理臨床家の訓練などについて(心理臨床家の訓練、経験、資格、職種、理論的立場など)。
質問・苦情などについて(カウンセリングはいつでも中止することができることなど)、その他、7点を挙げている。
インフォームドコンセントの必要性と影響
インフォームド・コンセントは、援助者の倫理・義務につながるだけでなく、クライエントの間にラポールを築くことにつながる。
インフォームド・コンセントを受けることで医師、薬剤師とのコミュニケーションがよくなり、信頼関係が高まるほか、治療や薬の必要性が理解できるので、患者さんがより積極的に治療に参加できるようになる効果もあります。 医師の考えがわかれば患者さんも意見をいうことができ、不安感をなくすことにもつながります。
(r4)