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臨床心理的地域援助への個人面接・アセスメントの応用 h26

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臨床心理学的地域援助とは

 

まず、臨床心理的地域援助をずばり定義すると、「臨床心理的地域援助とは、地域社会で生活を営んでいる人々の、心の問題の発生予防、心の支援、社会的能力の向上、その人々が生活している心理的社会的環境の調整、心に関する情報の提供などを行う臨床心理学的行為を指す」と私は定義をします。この定義によれば、臨床心理学的行為の対象は地域社会で生活を営んでいる人々であり、病院や施設に入院していたり収容されている人々ではありません。それは障害や病気を抱えながら地域社会で自立し自分の力で生活している人々、病気にはなっていないが日常生活の中でストレスを抱えて生活している人々、日々の地域生活家庭生活を営んでいる人々です。

 

臨床心理学的行為の内容

 

予防

第一に、心の問題が発生しないようにあらかじめ予防対策をすること、特に第一次予防を行うことです。心の病気の原因はまだはっきりしない点があったり原因が複雑であったりしますが、ストレスの軽減または除去や、ストレスマネージメントを行うことで心の病気の予防対策をたてることができます。

 

支援

次に、心の支援があります。障害や病気、悩みを抱え生活している人々を、それを支援するためのソーシャル・サポート・グルーブを作り、そのグループによって人々の心の支えとなったり、または個人的にカウンセリングやコンサルテーションによって人々の心の支えとなったりする活動です。

 

社会能力の向上

3つ目に、社会的能力の向上というのは、心の発達促進に手助けしたり、社会的能力を身につけるよう訓練活動に従事する活動です。発達障害児のケアや訓練、精神障害者回復クラブやデイケア・グループでの臨床心理学的行為がそれにあたります。

 

心理的・社会的環境の調整

4つ目の心理的・社会的環境の調整とは、問題を抱えた本人ではなく、その人を取り巻く環境側に働きかけ問題の解決を促進させる活動です。家庭では両親の養育態度の改善を図ったり、学校では教師が児童生徒をより適切に理解、指導できるよう援助したり、職場での雰囲気作りや学校環境の改善を行ったり、地域生活の環境の改善を行ったり、さらには社会制度の見直しに参加する活動であったりします。

 

心の問題についての情報を提供

最後に重要な活動として、地域生活を営んでいる人々に心の問題についての情報を提供する活動があります。それは心の病気についての知識と理解、心の仕組みや発達の仕方についての知識と理解の情報を提供する活動です。このような5点の活動を含む臨床心理学的行為が臨床心理的地域援助の内容です。

 

 

<引用文献>

 

https://www.jstage.jst.go.jp/article/jscpjournal/5/1/5_39/_pdf