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ケースカンファレンス h30

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カンファレンス

カンファレンスは,“精神病院,精神科病院児童相談所,養護施設,大学の心理相談室などで 関係するスタッフ全員が定期的に集まり,入院・ 入所中の患者や入所者,受理した事例,心理療法心理検査を実施している事例,終結した事例, 対応が困難な事例などについて報告し,治療,心 理療法,処遇などの方針といったことについて検 討するもの”

 

ケースカンファレンスとは

ケースカンファレンスとは、「一事例の経過を詳しくたどりながら、クライエントについての理解、治療者の自己理解、クライエントと治療者の関係や相互作用についての理解、治療過程についての理解を深めようとする」(徳田、2007)検討会のことを言う。

 

心理臨床家になるためには、ケースカンファレンス(事例検討会)の体験が欠かせないとされている。

 

ケースカンファレンスで学ぶこと

 

報告された事例の理解を深めること。事例 を相対化,客観化し,距離を置いて見ることが 出来たり,参加者からのコメントを聞くことで, 新たな理解を得たり,適切な見立てを立てたり する。

 

報告事例を超えて,他の事例にも応用でき るような知識,視点を得ること

 

参加者が,事例報告者の実践を体験することができること。このことは,事例検討におい て共感的な理解を行う上で必要なことである。 また,他者の取り組みを自身の参考にするとい う意義もある。

 

心理臨床家としての自分自身の理解を深め ること

 

他のスタッフから心理的にサポートされる 場ということ

 

 

ケース発表を聴きながら“もやもや”する場合。 その内的な“もやもや”を、まずは心の中で言語 化する。そのうえで、それを発表者に伝えるか、 黙って「自分の問題」として考えるかを吟味する。

 

敬意を持って“わがこと”のように事例発表を聴き、一つ一つの表現に対して必死にコミットしな がら発表を聴いていると、うまく言葉にならないよ うな、腑に落ちないような気持ちになることがあ る。以前、大学院生のケースカンファレンス体験 についてのインタビュー調査を実施した際(牧ら、 2009)、研究協力者の語りに『なんとなくしっくり こない時があって、そういう時は何か凄いもやもや した感じ』『ちょっと消化するのに時間がほしい感 じがあるかも』といった語りがあった。その語りを 元に、筆者らは「“体で感じる違和感や不全感”と でも呼べるような“もやもや感”はケースカンファ レンスにおいて完全に取り除くことはできないよ うに思う」と考察した。そんなもやもやした気持ち を感じたときには、その正体が何なのか、まずは自 分の中でしっかりと考えてみることが必要となる。 鑪(1994)は、ケース発表を聞いていると「『ただ なんとなくおかしい』『なんとなく提出者に腹立た しい』といったことがよく起こるものである。その 時、自分の気持ちをじっくりと整理する。そして、 内的なもやもやを言葉にしてみる。」ことを勧めて いる。しかし、この「ケースカンファレンス中に感 じるもやもや」を言語化することは、実はとても難 しいことだと思う。「ある場合には、自分の特定の 関心によって、どのような事例を見ても、読んでも、 その特定の関心に結びつけてしまうことが起こる」 (鑪、1994)こともあり、また、自分自身のコンプレッ クスや課題と重なっていることもあるためだ。たと えば、「母親への不満をセラピストに激しくぶつけ るクライエントの語り」にもやもやするとき、それ は、自分自身の母親コンプレックスが刺激されてい るからかもしれない。自分の中で見極め、「自分自 身のコンプレックス」から来ていると判断された場 合は、自分の問題をじっくりと考えるという心の作 業も重要となるだろう。

 

 

クライエントへの敬意、セラピスト(発表者)へ の敬意を忘れない。

 

筆者が大学院生時代にケースカンファレンスに 参加したとき、最初は非常に戸惑ったことを覚えている。実際の心理療法の話を聞き、『学生(大学院生) の自分がこれを聞いてよいのだろうか?』『これを 聞く資格が自分にはあるのだろうか?』という戸惑 いだったと思う。大学生から大学院生になると、「学 生から相談室スタッフへ」と基本的な姿勢を変えな ければならないが、そのことが最初はしっかりと理 解できないように思う。つまり、セラピストとして の基本姿勢を学ぶことがケースカンファレンスの 重要な目的の一つだと言える。基本姿勢としてまず 必要なことは、当然のことかもしれないが、クライ エントへの敬意、セラピスト(発表者)への敬意で ある。



 

 

<引用文献>

 

 

https://teapot.lib.ocha.ac.jp/records/34110

 

 

https://archives.bukkyo-u.ac.jp/rp-contents/RK/0027/RK00270L001.pdf