ポイント
集団意思決定
集団意思決定は個人的意思決定よりも優れているとされる。
集団意思決定ではそえぞれの成員が獲得した独自の情報によって集団に貢献することができる。
人々が自分独自の情報を互いに交換するよりも、互いに共有している情報の確認に時間を費やしてしまうことを、共有情報バイアスという。
集団思考(group think)
集団で相談することで、非現実的で楽観的な思考を促進してしまうことが知られている。これを集団思考という。
また、外部の影響から隔離された凝集性の高い集団が意思決定を行う際、メンバー間の意見の一致を求めるあまり客観的な判断が困難になること。
集団思考に陥っている集団は、物事を完璧に進めていると考える傾向がある。これを不滅の道徳という。
また自分たちの集団は本質的に道徳的であり、その決定は正しいと信じて疑わない特徴もある。これを道徳性の幻想という。
これらの原因となるのが集団内での成員のまとまりの強さである集団凝集性が関係している。
集団極性化現象(group polarization)
集団討議によって、個人で決定するよりもより極端な方向に意思決定がなされること。より慎重な決定を下すコーシャス・シフトと、より危険な決定を下すリスキー・シフトがある。
確認問題
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集団思考<groupthink>に関する説明として、正しいものを1つ選べ。
① 集団内で同調圧が高いと感じるときに生じやすい。
② 集団意思決定の質は個人による意思決定に比べて優れている。
③ 集団構成員間の親密性が低いとき、思考や発言が抑制されやすい。
④ 集団で課題を遂行すると、一人当たりの成績は単独で遂行するときよりも低下する。
⑤ 緊急時に援助できる人が自分以外にもいる場合、自分しかいない場合より援助行動が抑制されやすい。
(公認心理師試験 第1回 問13)
解答
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② 集団意思決定の質は個人による意思決定に比べて優れているとされるが、凝集性の高い集団が意思決定を行う際、メンバー間の意見の一致を求めるあまり客観的な判断が困難になる。
③ ×親密性が低いとき→親密度が高いとき
④ 社会的手抜きの説明。
⑤ 傍観者効果の説明。