ポイント
強迫症 / 強迫性障害(Obsessive-Compulsive Disorder)
強迫性障害は、不合理だと思うにも関わらず、ある思考やイメージが繰り返し現れて、強い不安や苦痛を引き起こす。
ある思考やイメージなどが持続的に繰り返し浮かんできて、それによって苦痛を伴う「強迫観念」と強迫観念によって引き起こされた苦痛を軽城するために、何らかの行動を繰り返し行う「強迫行為」の2つが診断の根拠となる。
認知行動療法の暴露反応妨害法が有効とされている。
強迫症 / 強迫性障害の診断基準
A. 強迫観念、強迫行為、またはその両方の存在
強迫観念は以下の(1)と(2)によって定義される:
(1)繰り返される持続的な思考、衝動、またはイメージで、それは障害中の一時期には侵入的で不適切なものとして体験されており、たいていの人においてそれは強い不安や苦痛の原因となる。
(2)その人はその思考、衝動、またはイメージを無視したり抑え込もうとしたり、または何か他の思考や行動(例:強迫行為を行うなど)によって中和しようと試みる。
強迫行為は以下の(1)と(2)によって定義される:
(1)繰り返しの行動(例:手を洗う、順番に並べる、確認する)または心の中の行為(例:祈る、数える、声を出さずに言葉を繰り返す)であり、その人は強迫観念に対応して、または厳密に適用しなくてはいけないある決まりに従ってそれらの行為を行うよう駆り立てられているように感じている。
(2)その行動または心の中の行為は、不安または苦痛を避けるかまたは緩和すること、または何か恐ろしい出来事や状況を避けることを目的としている。しかしその行動または心の中の行為は、それによって中和したり予防したりしようとしていることとは現実的な意味ではつながりをもたず、または明らかに過剰である。
注:幼い子どもはこれらの行動や心の中の行為の目的をはっきり述べることができないかもしれない。
B. 強迫観念または強迫行為は時間を浪費させる(1日1時間以上かける)、または臨床的に意味のある苦痛、または社会的職業的、または他の重要な領域における機能の障害を引き組こしている。
C. その障害は、物質(例:乱用薬物、医薬品)または他の医学的疾患の直接的な生理学的作用によるものではない。
D. その障害は他の精神疾患の症状ではうまく説明できない(例:全般不安症における過剰な心配、酸形恐怖症における容貌へのこだわり、ためこみ症における所有物を捨てたり手放したりすることの困難さ、抜毛症における抜毛、皮膚むしり症における皮膚むしり、常同運動症における常同症、摂食障害における習慣的な食行動、物質関連障害および嗜癖性障害群における物質やギャンプルへの没頭、病気不安症における疾病をもつことへのこだわり、パラフィリア障害群における性的衝動や性的空想、秩序破壊的・衝動制御・素行症群における衝動、うつ病における罪悪感の反芻、統合失調症スペクトラム障害および他の精神病性障害群における思考吹入や妄想的なこだわり、自閉スペクトラム症における反復的な行動様式)
醜形恐怖症
実際には問題にはならない外見の問題にとらわれてしまう。妄想的なため、統合失調症と考えれてしまうことがあるが、強迫症としての治療が必要である。
ためこみ症
必要になりそうに思えるものをすてることができず、家にゴミが溢れてしまう。
cf.
DSM−Ⅳでは不安障害に一部であったが、DSM-5からは独立したカテゴリーとなっている。
確認問題
[1]
強迫観念の属性として適切でないものを一つ選びなさい。
1.反復 2.行動制縛 3.病識欠如 4.不安 5.不合理感
[2]
次のような精神症状や障害を何というか。
・不合理だと思うにも関わらず、ある思考やイメージが繰り返し現れて、強い不安や苦痛を引き起こす。
(京都学園大学大学院 人間文化研究科 人間文化専攻)
解答
[1]
3
[2]