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統合失調症スペクトラム(schizophrenia spectrum )

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ポイント

 

統合失調症スペクトラムは幻覚や妄想、まとまりのない思考や行動、意欲の欠如などの症状を示す精神疾患

 

幻聴・幻覚・妄想など健常者の日常生活には見られない奇異な精神活動が現れるものを陽性症状、健常者の日常生活で通常当たり前にできていることができなくなる状態(感情の平板化、意欲の低下、思想の貧困、意欲や自発性の欠如)を陰性症状、まとまりのない会話と行動を解体症状という。

 

 

脳神経のネットワークがうまく働かず、脳内のさまざまな情報や刺激をまとめる(統合する)ことが難しくなる病気で、根本的な原因は不明だが、統合失調症になりやすい要因を持つ人が、生活する上での過度のストレスなどがきっかけとなり発症すると考えられている。

 

 

病型は大きく3つに分けられており、意識低下や感情の平板化が中心で、思春期から青年期にかけて発病することが多い「破瓜(はか)型(解体型)」、極度の緊張や奇妙な行動が特徴で青年期に発病する「緊張型」、幻覚や妄想が主体で30歳前後に発病することが多い「妄想型」がある。罹患率は100人に1人と高い。良好な予後を迎えるためには発症からなるべく早い段階で治療に結び付けることが鍵。

 

原因は特定されておらず、二重拘束説、脆弱性ストレスモデル、ドーパミン仮説などが考えられている。

 

急性期の陽性症状に対しては薬物と入院による鎮静が中心である。慢性期には薬物療法を継続しつつ、安定した社会生活が送れるように、支持的心理療法認知療法SSTソーシャルスキルレーニング)などを行う。

 

 

cf.

以前は「精神分裂病」と呼ばれていた。

DSM-5では統合失調症を軽症から重症までの連続体として捉えたスペクトラムという考えで扱い、名称も統合失調症スペクトラムに変更された。

 

 

シュナイダーの一級症状(1950年)

 

①思考化声

②話しかけと答えの形(対話形式)の声の幻聴

③自己の行為を絶えず批評する声の幻聴

④身体的被影響体験

⑤思考奪取、思考干渉

⑥思考伝播

⑦妄想知覚

③感情・意欲の領域における外からの被影響体験や作為体験

 

シュナイダーは統合失調症の診断基準として統合失調症に高頻度に出現する異常体験の細かい特徴をあげた。そしてこれらの症状の2、3が確実に存在し、しかもこれが身体疾患の随伴症状でなければ統合失調症と診断しうるとした。これはほぼ陽性症状に含まれる。これのほうが診断的には症状としてつかまえやすい面をもっている。

 

 

 

一般的に統合失調症の患者と面接すると、その表情から硬さ、冷たさが感じられることが多く、「打てば響く」という感じがなく、疎通性が乏しい感じを受けることがある。動作もぎこちなく生気がなく、落ち着かない態度、あるいは我関せずといった不関の態度がみられることがある。このような統合失調症の人と会う時に感じる一種独特な感じを、プレコックス感統合失調症くささ)という。昔は診断基準に役立てていた。

 

 

現実検討力に大きな障害が生じるのが統合失調症の特徴でもある。自我の境界が曖昧になり、主観的世界に現実が支配されてしまう自我障害も大きな問題を引き起こす。現実検討力(reality testing)は、自己と他者を区別できているか、自分の想像したことと現実の出来事を区別できているか、社会的規範から自分の行動を判断できるか。

 

早発性痴呆(dementia praecox)は、統合失調症という言葉ができる前に、クレペリン(Klaeplin,E.)が支離滅裂な妄想の拡大による人格の崩壊をひきおこす進行性精神障害に対して、用いていた用語である。

 

統合失調症DSM-5での診断基準

A. 以下のうち2つ(またはそれ以上)、おのおのが1ヶ月間(または治療が成功した際はより短い期間)ほとんどいつも存在する。これらのうち少なくとも1つは(1)(2)(3)である。

(1)妄想
(2)幻覚
(3)まとまりのない発語(ex:頻繁な脱線または滅裂)
(4)ひどくまとまりのない、または緊張病性の行動
(5)陰性症状(すなわち感情の平板化、意欲欠如)

 

B. 障害の始まり以降の大部分で、仕事、対人関係、自己管理などの面で1つ以上の機能のレベルが病前に獲得していた水準よりも著しく低下している。(または、小児期や青年期の発症の場合、期待される対人的、学業的、職業的水準にまで達していない)

→機能障害

 

C. 障害の持続的な特徴が少なくとも6ヶ月間存在する。この6ヶ月の期間には、基準Aを満たす各症状(すなわち活動期の症状)は少なくとも1ヶ月(または、治療が成功した場合はより短い期間)存在しなければならないが、前駆期または残遺期の症状の存在する期間を含んでもよい。

→期間

 

D. 統合失調感情障害と「抑うつ障害または双極性障害、精神病性の特徴を伴う」が以下の理由で除外されていること

(1)活動期の症状と同時に、抑うつエピソード、躁病エピソードが発症していない。
 →気分症状が併存する場合、統合失調症・統合失調感情障害と診断するには、気分エピソードのない時期に妄想と幻覚が存在する必要がある。

(2)活動期の症状中に気分エピソードが発症していた場合、その持続期間の合計は、疾病の活動期および残遺期の持続時間の合計の半分に満たない。
 →気分エピソードは、活動期と残遺期の合計の半分未満。半分以上は統合失調感情障害

 

E. その障害は、物質(ex:薬物乱用、医薬品)または他の医学的疾患の生理学的作用によるものではない。

 

F. 自閉スペクトラム症や小児期発症のコミュニケーション症の病歴があれば、統合失調症の追加診断は、顕著な幻覚や妄想が、その他の統合失調症の診断の必須症状に加え、少なくとも1ヶ月(または、治療が成功した場合はより短い)存在する場合にのみ与えらえる。

 

統合失調症に併存する身体疾患と抗精神病薬の副作用について

 抗精神病薬の副作用として肥満や高血糖が指摘されている。それに加え、精神科病院という環境と無為傾向などの精神症状が重なり合い統合失調症患者においては、メタボリックシンドロームの頻度が高く、肥満症や糖尿病の出現頻度が一般成人の約1.5〜2倍であると報告されている。一方、糖尿病治療の観点から見ると、血糖コントロールには食事旅法や運動療法が重要であるが認知行動障がいを伴う精神障がい者にとって、疾患を自覚しコントロールを続けてくことは困難を伴う。

 

 

問題

 [1]

次のような精神症状や障害を何というか。

・自分の行為が他から操られていると感じる

京都学園大学大学院 人間文化研究科 人間文化専攻)

 

[2]

DSM-ⅠV-TRによる統合失調症の診断の際に考慮されるべき「特徴的症状」として、誤っているものはどれか。

1.妄想 2.幻覚 3.意欲の欠如 4.健忘 5.まとまりのない会話

目白大学大学院 心理学研究科 臨床心理学専攻)

 

[3]

括弧に入る最も適切な語句を答えなさい。

精神分裂病は症状内容や病気の経過によって伝統的に大きく、(1)型、(2)型、妄想型の3つの型に類型化されてきた。

(法政大学大学院 人間社会研究科 臨床心理学専攻)

 

[4]

統合失調症に関連する神経伝達物質は(1)である。

名古屋市立大学大学院 人間文化研究科 人間文化専攻)

 

[5]

下記の用語について簡潔に説明しなさい。

統合失調症

静岡大学大学院 人文社会科学研究科 臨床人間科学専攻)

 

解答

 [1]
統合失調症

 

[2]
4

 

[3]

1、破瓜
2、緊張

 

[4]

1、ドーパミン

 

[5]

統合失調症スペクトラムは幻覚や妄想、まとまりのない思考や行動、意欲の欠如などの症状を示す精神疾患である。幻聴・幻覚・妄想など健常者の日常生活には見られない奇異な精神活動が現れるものを陽性症状、健常者の日常生活で通常当たり前にできていることができなくなる状態(感情の平板化、意欲の低下、思想の貧困、意欲や自発性の欠如)を陰性症状、まとまりのない会話と行動を解体症状という。重症の精神障害者に対して、地域で包括的な支援を提供するプログラムである包括型地域生活支援(Assertive Community Treatment:ACT)が用いられる。