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神経認知障害群(Neurocognitive Disorder)

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ポイント

 

せん妄(Delirium

注意および意識の障害

 

せん妄の診断基準

 

A.  注意の障害(すなわち、注意の方向づけ、集中、維持、転換する能力の低下)および意識の障害(環境に対する見当識の低下)

B.  その障害は短期間の間に出現し(通常数時間〜数日)、もととなる注意および意識水準からの変化を示し、さらに1日の経過中で重症度が変動する傾向がある。

C.  さらに認知の障害を伴う(例:記憶欠損、失見当識、言語、視空間認知、知覚)

D.  基準AおよびCに示す障害は、他の既存の、確定した、または進行中の神経認知障害ではうまく説明されないし、昏睡のような覚醒水準の著しい低下という状況下で起こるものではない

E.  病歴、身体診察、臨床検査所見から、その障害が他の医学的疾患、物質中毒または離脱(すなわち、乱用薬物や医療品によるもの)、または毒物への曝露、または複数の病因による直接的な生理学的結果により引き起こされたという証拠がある。

 

 

>いずれかを特定せよ

物質中毒せん妄:この診断は、基準AおよびCの症状が臨床像で優勢であり、臨床的関与に値するほど症状が重篤である場合にのみ、物質中毒の診断に代わって下されるべきである。

物質離脱せん妄:この診断は、基準AおよびCの症状が臨床像で優勢であり、臨床的関与に値するほど症状が重篤である場合にのみ、物質離脱に代わって下されるべきである

医薬品誘発性せん妄:基準AおよびCの症状が医薬品の副作用から起こる際に適用される。

他の医学的疾患によるせん妄:病歴、身体診察、臨床検査所見から、その障害が他の医学的疾患の生理学的結果により引き起こされたという証拠がある。

複数の病因によるせん妄:病歴、身体診察、臨床検査所見から、そのせん妄には2つ以上の病因があるという証拠がある(例:病因となる2つ以上の医学的疾患;他の医学的疾患と物質中毒または医薬品の副作用)

 

 

認知症(dementia)

人の精神活動の基盤である大脳の器質的病変(脳やその構成要素である神経細胞の形が壊れてくる病気)によって記憶力が低下し、人格の変化を生じるような状態をさす。それまでに獲獲得された記憶、知識、能力などが十分に機能せず日常生活に支障をきたす状態になる。

 

 

認知症の診断基準

 

A.  1つ以上の認知領域(複雑性注意、実行機能、学習および記憶、言語、知覚一運動、社会的認知)において、以前の行為水準から有意な認知の低下があるという証拠が以下に基づいている

(1)本人、本人をよく知る情報提供者、または臨床家による。有意な認知機能の低下があったという懸念、

および

(2)標準化された神経心理学的検査によって、それがなければ他の定量化された臨床的評価によって記録された、天質的な認知行為の障害

B.  毎日の活動において、認知欠損が自立を阻害する(すなわち、最低限、請求書を支払う、内服薬を管理するなどの、複雑な手段的日常生活動作に援助を必要とする)

C.  その認知欠損は、せん妄の状況でのみ起こるものではない。

D.  その認知欠損は、他の精神疾患によってうまく説明されない(例:うつ病統合失調症)。

 

〉以下によるものか特定せよ

アルツハイマー

前頭側頭葉変性症

レビー小体病

血管性疾患

外傷性脳損傷

物質・医薬品の使用

HIV感染

プリオン

パーキンソン病

ハンチントン病

他の医学的疾患

複数の病因

特定不能

 

 

認知症を引き起こす病因

認知症を引き起こす三大疾患とてアルツハイマー病、レビー小体病、脳血管障害がある。これらの病因に応じて認知症の症状の特徴を示す。

認知症の最大の危険因子は加齢であり85歳以上では4人に1人が認知症を発症すると言われる。

認知症意識障害と比べると症状が固定的であり、治りにくいという性質をもっている。なぜなら脳を形作っている神経細胞は成人では海馬などを例外として再生しないからだ。しかし、認知症を生じる病気の中には適切な治療により、改善するものもある。

 

認知症の中核症状

認知症の中核症状に記憶障害(物忘れ)・見当識障害(時間、場所、人物の失見当)・認知機能障害(計算能力の低下、判断力低下、失語、失認、失行、実行機能障害)などがある。

物忘れが主な症状であるアルツハイマー型と物忘れ・幻覚・運動障害が主な症状であるレビー小体型は抗認知症薬で治療可能である。他にも血管性認知症、前頭側頭型認知症意味記憶の障害のある意味性認知症がある。

 

cf.

認知症は、以前は痴呆と呼ばれていた。

 

アルツハイマー認知症

脳が萎縮していく病気であるアルツハイマー病の症状のひとつ。認知機能低下、人格の変化を主な症状とする認知症の一種であり、認知症の60-70%を占める

 

レビー小体型認知症

レビー小体が多く集まることによって生じる認知症。初期段階において、幻視が見られることが特徴である。アルツハイマー認知症が女性に多いのに対し、レビー小体型は男性の方が多く、女性の約2倍と言われている。

 

認知症に関連する評価尺度にHDS-RやMMSEがある。

 

改訂長谷川式簡易知能評価スケール(HDS-R)

改訂長谷川式簡易知能評価スケールは、日時や場所の見当識・言葉の記銘・計算・言葉の遅延再生・物品記銘、言葉の流暢性問題など9項目で構成されており、認知症の客観的判断の指標として用いられる。所要時間も10〜20分程度の比較的短時間であるため広く使われている。

 

ミニメンタルステート検査(MMSE:Mini Mental State Examination)

ミニメンタルステート検査(Mini Mental State Examination)は、認知症の診断用に米国で1975年、フォルスタインらが開発した質問セットである。30点満点の11の質問からなり、見当識、記憶力、計算力、言語的能力、図形的能力などをカバーする。24点以上で正常と判断、10点未満では高度な知能低下、20点未満では中等度の知能低下と診断する。

 

 

確認問題

[1]

改訂長谷川式簡易知能評価スケールは、日時や場所の(1)・言葉の記銘・計算・言葉の遅延再生・物品記銘、言葉の流暢性問題など9項目で構成されている。

帝塚山学院大学大学院 人間科学研究科 臨床心理専攻)

 

[2]

認知症は大きく分けて(a)と(b)のものに分けられる。 

名古屋市立大学大学院 人間文化研究科 人間文化専攻)

 

[3]

下記の用語について簡潔に説明しなさい。

・MMSE

静岡大学大学院 人文社会科学研究科 臨床人間科学専攻)

 

[4]

下記の用語について簡単に説明しなさい。

・disorientation

東洋英和女学院大学大学院 人間科学研究科 人間科学専攻)

 

解答

[1]

1、見当識

 

[2]

a:アルツハイマー型  b:レビー小体型

 

[3]

ミニメンタルステート検査(Mini Mental State Examination)は、認知症の診断用に米国で1975年、フォルスタインらが開発した質問セットである。30点満点の11の質問からなり、見当識、記憶力、計算力、言語的能力、図形的能力などをカバーする。24点以上で正常と判断、10点未満では高度な知能低下、20点未満では中等度の知能低下と診断する。

 

[4]

見当識障害。失見当識ともいう。時間や空間など自身が現在置かれている状況・環境を正しく認識することが障害された状態のこと。認知症高次脳機能障害などで見られ、特に認知症では記憶障害・実行力障害と並んで見当識障章害は中核症状の1つとされる。