ポイント
精神疾患の診断・統計マニュアル
アメリカ精神医学会の作成した「精神疾患の診断・統計マニュアル」の略が「DSM」である。
現在では、DSM-5が出ている( "5"は「第5版」)。心因性などの病因論を排し、症状のまとまりによって分類する症候論的分類に特徴がある。DSM導入のメリットとしては、診断基準が明確になり、今まで医師の主観的な傾向にあった精神疾患の判断に対して、客観的な判断を下せるようになった。そのため、医師の力量や熟練度によらず、一定の精神医学の知識を持つものであれば、ある程度信頼の高い診断をできるようになった。一方で、原因に深く追求することなく、観察される症状のみに注日して、該当する項目数によって機械的に診断を下すため、心理療法やカウンセリングを行う際には改めて心理アセスメントなどでその個人の詳細な情報を知る必要がある。また、DSMを知っている場合、詐病を装うことができるという問題点がある。
操作的分類
DSMの特徴の1つであり、病気の原因を前提にするのではなく、観察された症状のまとまりに基づいて除害を定義し、分類することをいう
確認問題
[1]
世界保健機構WHOのICDや米国精神医学会のDSMはどのような目的で作られたか簡単に述べなさい。
(名古屋市立大学大学院 人間文化研究科 人間文化専攻)
[2]
下記の用語について正式名称を英語または日本語で答え、簡潔に説明しなさい。
・DSM
(静岡大学大学院 人文社会科学研究科 臨床人間科学専攻)
解答
[1]
世界保健機構WHOの ICDは、死因や疾病の統計などに関する情報の国際的な比較や、医療機関における診療記録の管理などのために作られた。一方、DSMは当初、統計調査のために作成された。DSM導入により、診断基準が明確になり、今まで医師の主観的な傾向にあった精神疾患の判断に対して、客観的な判断を下せるようになった。そのため、医師の力量や熟練度によらず、一定の精神医学の知識を持つものであれば、ある程度信頼の高い診断をできるようになった
[2]
精神疾患の診断・統計マニュアル(Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders)
アメリカ精神医学会によって出版された書籍である。精神障害の分類のための共通言語と標準的な基準を提示している。これにより、診断基準が明確になり、今まで医師の主観的な傾向にあった精神疾患の判断に対して、客観的な判断を下せるようになった。