奥行きの知覚
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人はさまざまな奥行きの手がかりを利用して、2次元の情報を3次元の広がりとして知覚している。この奥行きの手がかりには、生理的手がかり、視差による手がかり、絵画的手がかりがある。
遠くを見るときは水晶体が薄くなり、近くを見るときは厚くなる。この水晶体の厚みを調節する筋肉の調整と輻輳角を制御する眼筋の伸縮が生理的手がかりである。
視差の手がかりには、両眼視差と運動視差がある。空間を見るとき、左眼と右眼の網膜像にはズレが生じる。このようなズレを両眼視差といい、ぞのずれを脳内で融合することにより、奥行きを感じる。観察者自身や対象が動くときに生じる視差が、運動視差である。観察者から近いものほど速く動き、遠いものほどゆっくり動く。観察者からの相対的な距離によって、相対的な運動速度が異なることが奥行きの手がかりとなる。
絵画的手がかりは、絵や写真の中で奥行きを感じることができるように、単眼で見た網膜像の中に含まれる手がかりである。
◻︎奥行きの絵画的手がかり
1 網膜像の大きさ
2 線遠近法
3 重なり合い
4 きめの勾配
5 大気遠近法
6 陰影