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防衛機制(defense mechanism)

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ポイント

 

防衛機制 

 

 イドは快感原則によって働くが、超自我の規制を受ける。この相反する力の間で葛藤が生まれ、自我は調整に悩み、さまざまな方法で心の安定を図ろうとするが、そのメカニズムをフロイドは防衛機制と呼んだ。防衛機制は不快な欲求・体験から自我を守る様々な手段。

 

 

 

防衛機制の分類

 

防衛機制

 

◻︎取り入れ

相手の属性を自分のものにする。同化して自分のものとする。

憧れている人の言葉使いや仕草を知らず知らずのうちに真似ていることがあるが、妄想型の分裂疾患社には異常な形で現れ、自分がその人になりきって、区別がつかないことがある。

ex.  仲の良いカップルの好みやファッションが似てくること

 

 

 

◻︎同一化(同一視)

受け入れがたい現実やかなえられない現実を満たすために、誰かの真似をすること(例:エディプス·コンプレックスにおいて、母親を異性として愛することはできないと知った男児は、父親のようになりたいと思うようになる。

 

 

◻︎反動形成

相手に劣等感を抱き、恐れている人が、逆に虚勢をはり、偉そうな態度をとる。

抑圧した欲望や想いが言動として現れるのを防ぐために、正反対の言動をとること

(例:アルコールを飲みたい人が 酒を飲むことに強く反対する。飲みたい欲求が表に出てくるのを阻止している) 

 

 

◻︎投影(投射)

自分の受け入れがたい感情や考えを、他者が自分に向けてきた感情・考えととらえること(例:母親に敵意をもつ人が、母親が自分に敵意を向けていると考える)

 

◻︎合理化

自分の行動に合理的な理由を見つけ出すこと。つまり、もっともらしい理屈をつけて、満たされなかった願望に対する失望を和らげようとする自我の再適応メカニズムである。

ex.高いところにあるぶどうを取れなかった狐は「あのぶどうは酸っぱくてまずい」と言って去る

 

 

◻︎昇華

社会的に容認されない欲望を社会的に容認される形で表出すること(例: 性的な欲望をスポーツなどで発散させる。また芸術家ダ·ビンチの同性愛衝動は「モナ·リザ」として昇華されたと、フロイトが解釈したことは有名)

叶わぬ恋や片思いの感情を語や絵などで表現したり、ふられた悔しさをスポーツに打ち込むことで忘れようとしたりする防衛機制は、社会的に好ましい防衛機制とされている。

 

◻︎補償

アドラーの概念。劣等感をカバーするために、他の望ましい特性を強調すること(例:勉強が苦手な子が、運動でがんばる)

 

 

逃避機制

 

◻︎抑圧

苦痛な感情や欲動、記憶を意識から閉め出す。

ex.  ふられた相手の名前がとっさに思い出せないことがあげられる。

 

◻︎逃避

空想、病気、現実、自己へ逃げ込む。

 

 

 

◻︎知性化

不安を起こす感情を意識化しないために、その感情と距離を置いて知的に判断しようとすること(例:重い病気を宣告された人が病気の不安から逃れるために、病気に関する医学的知識を求める)

 

◻︎退行

過去のより未成熟な行動様式に戻ること

ex.一人で着替えていた兄が、弟が生まれて母の関心が弟に向けられるようになったため、一人で着替えなくなり、親に着替えさせてほしいと要求する

ex.下に弟や妹が生まれた長子が、赤ちゃん返りする

 

 

 

 

 

◻︎否認(否定)

不快な現実の知覚を拒否することで、自我を守ること(例:息子が戦死したと聞かされた親が、その事実を認めようとしない)

行方不明になったペットが必ず帰ってくると思いこむなど、受け入れがたい現実を認めようとしない防衛機制もある。

 

 

 

 

確認問題

[1]

・基本的な防衛機制で、苦痛な感情や欲動、記憶を意識から締め出して無意識に追いやることを(1)という。

・(2)とは、それまでに発達した状態や分化した機能などが、それ以前の状態やより未熟な段階へと逆戻りする防衛機制である。

帝塚山学院大学大学院 人間科学研究科 臨床心理専攻)

 

[2]

フロイトの自我防衛機制のうち、自分の感情を相手のせいにすることを(a)、反社会的な欲求を社会的に意味のある活動に向けることを(b)という。

名古屋市立大学大学院 人間文化研究科 人間文化専攻)

 

解答

 

[1]

1、抑圧

2、退行

 

[2]

a:投影  b:昇華