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フロイト(Freud,S.)の心理性的発達段階説(Psychosexual development)

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ポイント

 EriksonはFreudが提唱している各発達段階である口唇期、肛門期、男根期、潜伏期、性器期で、子供に与えられる課題について、新しい、幅広い見解をとった。そのためEriksonの理論ではそれぞれの時期を乳児期、幼児期前期、幼児期後期、学童期、青年期と表記されることが多い。さらに、3つの新しい段階(成人期、中年期、老年期)も付け加えており、従ってEriksonの発達論では人間の全生涯にわたって論じられている。  Freudは、身体部位を中心に置く、精神性的発達段階の継起を想定した。子どもが成熟するに従い、彼らの性的関心は口唇部位から肛門部位、さら男根部位へと移って行く。そして、潜在期の後になると、性的関心は再び性器部位に向けられるようになる。  しかし、Freudの身体部位に焦点を絞った理論には限界があった。 もちろんFreudは身体部位に述べるだけにとどまっていない。子どもとその成長に影響を与える人々との間における、重要な相互作用についても論じている。Freudが述べている各々の発達段階において、 Eriksonは、子どもが社会的な環境の中で経験する、最も決定的で一般的な事実について理解できるような概念を導入している。

 

 

口唇期(orel phase)1〜1.5歳

 母親から乳を与えられ、吸うという行為を通して環境との交流が図られている時期。この段階での固着は、口唇によるリビドーが満たされなかった、つまり授乳による快楽を得られなかったことに対する執着であり、依存的で受動的といった性格特徴の形成と深い関係を持つ。

 

肛門期(anal phase)1.5〜3歳

環境への主張的で能動的姿勢が芽生える時期。この段階では一定期間我慢をし、適切なタイミングで排世をすることが求められる。リビドーは肛門に集中すると考えられ、排世による快感を得るためには、我慢をしなければならない。凡帳面、頑固、倹約といった性格特徴の形成に関わっていると考えられる。

 

男根期・エディプス期(oedipal  phase)3〜5歳

異性への関心が芽生え、男の子は母親に、女の子は父親に性的関心をもち、同時に同性の親を憎むようになるという(エディプス・コンプレックス:Oedipus complex)。このような愛僧の気持ちは、男の子においては父親による去勢という不安を喚起し、性への関心が強く抑圧され、次の段階である潜伏期へと進む。両親への性同一視を通して性役割を獲得する時期でもある。

 

潜伏期(latency  phase)6〜12歳

性欲動はエディプス葛藤をめぐって強く抑圧され、社会的規範の学習や知的活動にエネルギーが注がれ、思春期以降に再び出現するまでの間潜伏しているとみなされている。

 

性器期(genital  phase)12歳〜

口唇期、虹門期、エディプス期の部分的欲動が統合され、抑圧されていたリビドー再び顕在化する。また、リビドーは他者にも向けられ、他者と性的な関係を求めるようになる。心理的には、対象の全人格を認めた性愛の完成期と考えられている。

 

エディブス・コンプレックス

エディブス、コンプレックスとは、以下のような葛藤である。

男児は男性器の所在を確認することにより、自分自身が男性であることを意識し始める。

男児は、最も身近な女性である母親に性愛感情を抱く。

③母親への性愛感情を実現するため、父親に敵意を抱き、排除を考える。

④同時に父親の報復を恐れる。特に罰として、男性の象徴である男性器が奪われると考える(去勢不安)。

⑤最終的に、母親への性愛感情と父親への敵散意を抑圧する(潜伏期への移行)。O同時に父親への同一視が起こり、父親のように母親を愛したいと思うようになる。

 

こうした過程や藤を通じて発達的には次のような意味があると考えられている。

①母親への性愛を抑圧することは、「母親への性愛を実現してはならない」という思いに至ることであり、世界には道徳や規律があることを知る。そのため、この経験を通じて道徳原則に基づく超自我が形成される、と考えられている。

②父親への同一視が起こるということは、父親の持っている男性らしさを自身の中に取り入れることもでもある。そのため、この経験を通じて男らしさ、男性的な価値観や態度といった性役割が形成される。

 

エレクトラコンプレックス

女児でも基本的にはエディプス・コンプレックスと同様のことが起こると考えられている。男児との違いは「去勢不安」がないことであるが、女児には男性器がないため、そのことに気づいた女児は劣等感を感じ、男性器を与えなかった母親を憎み、父親への憧れを抱くと考えられている。女児の心理的葛藤を「エレクトラ・コンプレックス」と名付けたのはユングである。

 

 

確認問題

[1]

以下の括弧の記述に最も該当する人物を語群から選び、数字で答えなさい。

(1)は幼少期の体験や自我の発達を重視し、発達段階を5つに分類した。

関西大学大学院 心理学研究科 心理臨床専攻)

 

[2]

フロイトの心理性的発達理論の5段階について、各段階の名称を記し、その段階の特徴を説明しなさい。

名古屋市立大学大学院 人間文化研究科 人間文化専攻)

 

[3]

下記の用語について簡単に説明しなさい

・Oedipus complex

静岡大学大学院 人文社会科学研究科 臨床人間科学専攻) 

 

解答

[1]

1、フロイト

 

[2]

フロイトの心理性的発達理論の5段階は、口唇期、肛門期、男根期、潜伏期、性器期である。

口唇期は、1〜1.5歳頃の、母親から乳を与えられ、吸うという行為を通して環境との交流が図られている時期である。この段階での固着は、口唇によるリビドーが満たされなかった、つまり授乳による快楽を得られなかったことに対する執着であり、依存的で受動的といった性格特徴の形成と深い関係を持つ。 肛門期は、1.5〜3歳頃の、環境への主張的で能動的姿勢が芽生える時期である。この段階では一定期間我慢をし、適切なタイミングで排世をすることが求められる。リビドーは肛門に集中すると考えられ、排世による快感を得るためには、我慢をしなければならない。凡帳面、頑固、倹約といった性格特徴の形成に関わっていると考えられる。 男根期・エディプス期は、3〜5歳頃の、異性への関心が芽生え、男の子は母親に、女の子は父親に性的関心をもち、同時に同性の親を憎むようになるという時期である。このような愛僧の気持ちは、男の子においては父親による去勢という不安を喚起し、性への関心が強く抑圧され、次の段階である潜伏期へと進む。両親への性同一視を通して性役割を獲得する時期でもある。 潜伏期は、6〜12歳頃の、性欲動はエディプス葛藤をめぐって強く抑圧され、社会的規範の学習や知的活動にエネルギーが注がれ、思春期以降に再び出現するまでの間潜伏しているとみなされている時期である。 性器期は、12歳頃からの、口唇期、虹門期、エディプス期の部分的欲動が統合され、抑圧されていたリビドー再び顕在化する時期である。また、リビドーは他者にも向けられ、他者と性的な関係を求めるようになる。心理的には、対象の全人格を認めた性愛の完成期と考えられる。

 

[3]

 

異性への関心が芽生え、男の子は母親に、女の子は父親に性的関心をもち、同時に同性の親を憎むようになることである。