転移 / 逆転移
現在では転移は、広くクライエントがセラピストに対して示すある種の非現実的想度を意味する言葉として理解されている。
面接の進展につれて、クライエントは面接者に愛情、信頼、尊敬、時には性的欲求などを向けてくる。このような陽性の感情を向けることを陽性転移といい、恨み、非難、反抗、敵意など破壊的な感情を向けてくることを陰性転移という。面接者は、中立性の原則から、これらの欲求や願望に応じてはならない。
陽性転移は、陰性転移よりも治療の早い段階で起こりやすい。
中立性の原則により、陽性転移を積極的に解釈するべきではない。
幼少期に両親との間で形成された症状が、セラピストとの間で再現的に形成される場合を転移神経症という。
逆転移は、クライエントの転移に対する反応として、セラピストが生活史で他者に抱いた個人的な感情をクライエントに感じることをいう。
クライエントの様々な転移感情に、セラビストが逆転移をおこし、クライエントを中立的に解釈することができなくなってしまっても、セラピーとして機能しなくなる。こうしたことを防ぐために、セラピストは、自分の逆転移を洞察し、コントロールして、クライエントの抵抗や転移を正しく認識することが求められる。そのためには、教育分析を受けて自己分析を重ねたり、心理的支援に際してはスーパービジョンを受けるなど、自己研鎖を継続することがセラピストには求められている。
そのため、逆転移が起こったからといって治療者の文代は必要ではない。