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転移(transference)

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ポイント

 

□転移

両親などの重要な他者に対する抑圧された感情が分析家自身に向けられるとかある。これを転移と言う。

現在では転移は、広くクライエントがセラピストに対して示すある種の非現実的想度を意味する言葉として理解されている。

面接の進展につれて、クライエントは面接者に愛情、信頼、尊敬、時には性的欲求などを向けてくる。このような陽性の感情を向けることを陽性転移といい、恨み、非難、反抗、敵意など破壊的な感情を向けてくることを陰性転移という。面接者は、中立性の原則から、これらの欲求や願望に応じてはならない。

陽性転移は、陰性転移よりも治療の早い段階で起こりやすい。

中立性の原則により、陽性転移を積極的に解釈するべきではない。

幼少期に両親との間で形成された症状が、セラピストとの間で再現的に形成される場合を転移神経症という。

 

逆転移 

逆転移は、クライエントの転移に対する反応として、セラピストが生活史で他者に抱いた個人的な感情をクライエントに感じることをいう。

クライエントの様々な転移感情に、セラビストが逆転移をおこし、クライエントを中立的に解釈することができなくなってしまっても、セラピーとして機能しなくなる。こうしたことを防ぐために、セラピストは、自分の逆転移を洞察し、コントロールして、クライエントの抵抗や転移を正しく認識することが求められる。そのためには、教育分析を受けて自己分析を重ねたり、心理的支援に際してはスーパービジョンを受けるなど、自己研鎖を継続することがセラピストには求められている。

そのため、逆転移が起こったからといって治療者の文代は必要ではない。

 

逆転移は、治療場面において、治療者が患者に対して転移を起こしてしまうこと。例えば、セラピストがあるクラシエントに特別に親しみを感じる、あるいはその逆に敵対心を感じるということは逆転移と言える。フロイトは、逆転移は治療の障害になるため排除するべきものであり、治療者は患者の無意識が投映されやすいように、白紙のスクリーンにならなければならないと考えた。しかし現代の精神分析では、逆転移の定義はさらに広げられ、面接中に治療者が抱く感情の全てを含むものになっている。そして、逆転移の中には患者側の病理によって治療者の中に引き起こされる逆転移もあり、そうした逆転移は治療的に活用できるとする考えが主流を占めるようになっている。

 

 

精神分析のプロセス】

精神分析の開始

セラピストとクライエントの間で治療契約の締結後、治療はスタートする。精神分析の場合、自由連想法などを用いて進める。

 

《治療同盟therapeutic alliance》

精神分析的療法で使用される言葉で、治療過程において現実的な協力や共同作業をあらわす概念であり、治療者とクライエントとの間の作業関係の確立を指す。

 

②抵抗・転移

自由連想が進むと、クライエントは無意識に隠れている恐怖や欲望への到達を拒み無意識が意識化されるのを停止させてしまう(例えば自由連想中に話すことをやめ沈黙してしまうなど)。これを精神分析では抵抗(resistance)と呼ぶ。抑圧された衝動や葛藤が、問題行動として表出する「行動化」(acting out)も抵抗の1つと提える。また治療が進むにつれ、クライエントが過去に自分にとって重要だった人物(多くは両親)に対して持った非合理的な感情を、目前の治療者援助者に対して向けるようになる。これを(transference)と言う。転移には、好意や恋愛感情を向ける陽性転移と、敵意や怒りを向ける陰性転移の2種類がある。転移は、心理面接という非日常場面だからこそ生じるものであり、クライエントの正当な反応とは区別せねばならない。

 

③抵抗・転移の解釈

セラピストはクライエントの抵抗や転移などを分析してそれをクライエントに告げる(解釈)。解釈が成功して、クライエントが無意識を受け入れる(洞察を得る)ようになると、クライエントはまで意識されていなかった無意識的な葛藤を自我に統合することができる。

 

④徹底操作(working through)

ケライエントが抵抗や転移に直面し、内容を明確化し、それに対して治療者が解釈を与えるという「直面ー明確化一解釈」の一連の流れを反復的に行うことで、徐々に意識化への抵抗を減らしていくことを徹底線作と呼ぶ。徹底操作により自我が強化され、意識化された心的外傷体験・欲求や感情を自分で制御できるようになる。

 

 

確認問題

[1]

転移(感情転移)は元来精神分析の概念で、患者が両親などの重要な他者に対する抑圧された感情を分析者へ向けることを指す。

神戸学院大学大学院 心理学研究科 心理学専攻 改題)

 

[2]

次のうち、精神分析学で用いられる概念でないものを一つ選びなさい。

①抵抗 ②防衛 ③転移 ④徹底操作 ⑤精神交互作用

帝京平成大学院 臨床心理研究科 臨床心理学専攻)

 

[3]

精神分析において見いだされた逆転移とはどのような現象か、筒潔に説明しなさい。

名古屋市立大学大学院 人間文化研究科 人間文化専攻)

 

解答

[1]

 

[2]

5 

 

[3]

逆転移は、クライエントの転移に対する反応として、セラピストが生活史で他者に抱いた個人的な感情をクライエントに感じることをいう。