想起の過程
記憶の実験をする場合の主要な測定法として、再生を調べる方法と再認を調べる方法がある。
再生(recall)
再生とは、覚える際に見た材料がどのようなものであったのかを、直接答えさせる方法である。 つまり、再生とは記銘した刺激を被験者自身が思い出して(再現する方法である。
再認(recognition)
再認とは、覚える際に見た材料とそうではない新しい材料を後に混ぜて被験者に示し、以前に見たものと新しいものとの区別をさせる方法である。つまり、学習した項目と学習しなかった項目を提示し、どの項目を以前学習したか被験者に指摘させる方法である。
学校で行われる試験でもこの2つの方法は用いられており、 たとえば、問題文中の空欄にあてはまる単語を、直接記入するのは再生法、選択肢の中から選ぶのは再認法によるものである。一般に再生を求めた場合のほうが再認の場合よりも難しいことが知られている。 想起がどのようにして生じるのかについては、さまざまな理論が存在するが、ここでは、再生の2段階説という考え方を紹介する。たとえば、ある人の名前を思い出す場合には、長期記憶に貯蔵されている多くの人物の名前の中から、その人物の名前を探索して、候補となる名前が選び出される。 そして、次に、その選び出された名前が求めている名前に間違いないかどうかの照合(再認)が行われるとする考え方である。この説によれば、再生の場合には、思い出すべき情報を探索する段階と、見出された情報が求めている情報そのものなのかどうかを照合する段階との、2つの過程が必要とされる。一方、再認の場合には、探索の段階が不要であって、再認テストで示された情報が求めている情報そのものなのかどうかを照合する段階だけで十分である。 このため、再認の場合のほうが処理が容易になるので、再生の場合よりもやさしいのだと説明される。
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