発達に関する一般的な原理
ポイント
成長
「成長」は量的な変化であり、時間の経過に伴って大きさや構造的な複雑性の増大という形で観察されるものである。
例えば身長や体重の変化は量的な変化として捉えることができる「成長」と言えよう。
複雑性の増大としては、認知能力や社会的能力の複雑化があげられ、これも成長と言える。
基本的には、遺伝的な完成形に向かう過程と考えられ、生得的な要因である。
発達
「発達」は質的な変化であり、心身の成熟や経験に基づく学習によって生じる“変化”として現れるものである。
例えば子どもからおとなへ、おとなから親へ、さらに老人へ…というように、遺伝的に決められた進み方だけではなく、経験によって培われたものも含め、我々は死ぬまで変化を続ける。これが「発達」である。
単なる増大ではなく、文字どおり「変化」の事を指すことが多い。
生涯にわたる発達は、個人が所属する生活環境の変容とともに進んでいく。
おとなは単純に子どもの延長上にあるわけではなく、子どもとは様々な点で全く違う性質を持っている(もちろん子どものときに持っていた性質を失うこともある)。子どもとおとなは“大きい、小さい”の差ではなく、根本的な部分で質的に異なる。
発達は遺伝的な要因と経験的な要因の相互作用によって形成され、特定の完成形を目標とはしていないことが多い。発達は、その年齢ごとの特徴に基づく適応の変化、と考えるのが妥当と思われる。
成熟
遺伝に規定され環境の影響を受けない変化のこと。特に生後初期の発達においては、学習よりも成熟の影響が大きいと考えられている。
ex.成熟優位説
人間の発達は主に成熟要因によって規定されるという説。
ゲゼルは双生児の階段のぼり研究(双生児統制法)を行い、成熟優位説を主張した。
確認問題
発達に関する一般的な原理についての記述で、誤っているものはどれか。
1.発達は一定の順序と方向に従い進む過程である。
2.発達は一様で未分化な状態から多様で分化した状態に変化する過程である。
3.発達は個体の遺伝的素質が個人の経験とは無関係に現れたものである。
4.発達はある領域が多領域の発達に関連し合って発達する過程である。
5.発達には発見する時期や達成の程度に個人差が見られる。
(目白大学大学院)
解答
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