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類型論( Typology)/ 特性論( Trait theory ) 

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ポイント

 

類型論( Typology)

 これまでの性格研究の流れは、大きく2つに分かれる。その一つは、類型論(typology)と呼ばれるものであり、人をいくつかのタイプに分類して理解しようとする立場である。この流れは精神医学を出発点としており、よく知られているのはクレッチマーの体型説である。

 

クレッチマー(Kretschmer, E.)

    ドイツの精神科医クレッチマー(Kretschmer , E.)の類型説は、精神病患者の臨床的観察(自らの診療所に来院する患者の体型と診断の相関を調べた)に基づいて提唱されたものである。クレッチマーの体型説では、精神病患者の体型の違いに注目した。分裂病(統合失調症)の患者には細身型の人、 躁うつ病(気分障害)の患者には肥満型の人、 てんかん (神経系の疾患) の患者には闘士型の人が多いことを示した。つまり、体型ごとの性格類型は、細身型ー分裂気質、肥満型ー躁うつ気質、闘士型ーてんかん気質となる。分裂気質は内閉性気質(非社交的、控えめ、敏感と鈍感をあわせもつなど)、躁うつ気質は同調性気質(社交的、融通がきく、ものごとにこだわらないなど)、てんかん気質は粘着性気質(頑固で生真面目、几帳面、きれい好きなど)を示す。

 

 

 

 

 この他にもユングの外向型・内向型分類といったいろいろな類型説がある。

 

ユング (Jung, C. G.)

    ユング (Jung, C. G.) は, 精神分析学的見地から、リビドー(心的エネルギー)の向かう方向によって、外向型内向型の2類型を区別した。さらに、その下位分類として、思考感情(合理機能)、感覚直観(非合理機能)という4つの心理機能があるとし、これらの組合せによって8種類の性格類型を提唱した。外向型の人は自己よりも外部の世界に関心があり、外界の刺激を受けやすく、他者からの賞賛や評価を求める傾向が高い。内向型の人は自己の内界に関心があり、外界の刺激を受けにくく、自身の考えや態度に忠実な行動をとる傾向が高い。思考は論理的、合理的な判断を導こうとする精神機能であり、これが高いと物事を客観的に捉えようとする傾向が高くなる。感情は認識の対象と同じ視点を持とうとする精神機能であり、これが高いと他者の立場に立って共感的に理解しようとする傾向が高くなる。直感は認識対象を全体的に捉え、様々な要素の関係性を包括して理解しようとする精神機能であり、パターンの把握に優れ、新たな方法を見出すことのできる傾向が高くなる。感覚は、認識対象を捉えるために目や耳などの感覚器を通じて入力される情報を取り入れる機能であり、これが高いと物事を性格に把握しようとする傾向が高くなる。

 

 

 

 

 

 

 

 

    類型説は身体的ないし生理的な特徴に関連づけた説と、そうでない説とに分かれる。いずれにしても人を独自な全体としてとらえ、初めから分析的にみようとしない点に特徴がある。 私たちが日常生活で問題にする性格はこのようなおおまかなタイプ分けが普通であり、今日でも血液型による性格診断を信じる人がいるのもそのためである。

 類型説については、データの取り方や統計的処理などが適切になされているとは限らず、確かなものとはいえないという見方もある。また、クレッチマーの場合のように,病的な性格から普通の人の性格を推測しており、本来それらは程度の違いとみなしてよいものかどうかについても疑問が持たれる。質的に異なるのであれば、このような推測はあたらないことになるからである。

 

特性論( Trait theory )

 

一定の行動傾向のことを特性と言い、特性の量的な差異によって性格を記述する考え方を特性論という。

 

オルポート(AIlport, G.W.) 

オルポート(AIlport, G.W.)は、辞書から人の性格に関する語を取り出し、それらを分析して人間の性格に2つの特性(個人特性、共通特性)があることを見出した。

 

キャッテル(Cattell, R.B.) 

キャッテル(Cattell, R.B.)性格特性をその個人に特有な独自特性と、すべての人が程度の差はあれ共有する共通特性に分けた。人間の性格は16の特性で説明できるとしている

 

類型説が主としてドイツで発達したのに対して、これはアメリカやイギリスで唱えられた。

 

アイゼンク(Eysenck, H.J) 

イギリスのアイゼンク(Eysenck, H.J) は、個別的反応から、習慣的反応の水準を経て、特性の水準に至り、最後に類型の水準に達するという、性格の4層構造でできていると唱えた。たとえば、子どもが飽きることなくパズルを解いているという日常生活での反応が個別的反応であり、パズルに限らず飽きにくい習慣があるとすれば、それが習慣的反応である。このような習慣的反応は数え方によっては数が多くて、多種多様であろう。そこで因子分析という統計的方法によって似たものをまとめるという方法がとられた。アイゼンクは神経症患者を対象にした分析から、内向ー外向、神経症傾向、精神病傾向の3つの次元を見出した。このうちの内向ー外向の次元には、持続度から感じやすさまでの5つの特性が含まれることが明らかにされている。これらを元にアイゼンクはモーズレイ性格検査(MPI:Maudsley Personality Inventory)という質問紙式パーソナリティ検査を作成した。

 

 この他にもいろいろな特性論があるが、抽出された因子は必ずしも一致しておらず、一つの難点になっている。

 

ビッグ・ファイブ(Big Five)

これまでの性格についての研究を統合して、性格を5因子にまとめたものをビッグ・ファイブ(Big Five)という。P, CostaとR, McCraeなどは、ビッグファイブの中には神経症傾向・情緒安定性(Neuroticism)、外向性(Extraversion)、開放性(Openness)、調和性・協調性(Agreeableness)、誠実性・勤勉性(Conscientious -ness)が含まれているとした。

 

数十年間にわたってパーソナリティ理論の語彙仮説内で独立して取り組み、一般的には同じ五つの因子を特定してきた少なくとも4組の研究者がいる。先行したのはテュペスとクリスタルであり、続いてオレゴン研究所(英語版)のゴールドバーグ、イリノイ大学のキャテル、そしてコスタとマクレイである。これらの4組の研究者は、5つの特性を発見するためにいくぶん異なる方法を用いた。したがって、5つの因子それぞれは多少異なる名前と定義をもつものの、それらすべては高度に相互相関していて、因子分析的に整列していることが知られている

 

 

確認問題


[1]

括弧に入る最も適切な語句を答えなさい。

ドイツの精神医学者(①)は、臨床上の経験から、精神分裂病統合失調症)は、(②)型の体格の人に多く、躁うつ病は(③)型の人に多く現れることを確かめ、さらにこれらの精神病者の(④)の状態や血縁関係にある人々には、ある一定の(⑤)的特徴が認められることに着目して、分裂質と躁うつ質という類型を考えた。

神奈川大学大学院 人間科学研究科 人間科学専攻 臨床心理学研究領域)

 

[2]

Jung、C. G.は、心的エネルギーの向かう方向によって、(1)、(2)という類型と共に精神の主な機能として、思者、感情、(3)、(4)の4つの機能類型を考えた。

(法政大学大学院 人間社会研究科 臨床心理学専攻)

 

[3]

ユング(Jung、C、G.)は、人間のタイプを外向型と内向型に分け、さらに、それぞれの心的機能を合理的機能である「思考」と「(1)」、非合理的機能である「(2)」と「感覚」の4つに分けて、その組み合わせにより、8つの性格のタイプを提出した。この心的機能には(3)と呼ばれる働きがあり、心は全体として無意識と意識がバランスよく作用して自己統御されているとしている

愛知淑徳大学大学院 心理医療科学研究科 心理医療科学専攻 臨床心理学専攻コース)

 

[4]

 1から5までの人格心理学の研究上の功績をあげた人物を、アからクの中から選びなさい。

1 心的エネルギーの向かう方向により、性格を外向型と内向型に分けた。

2 精神病や病前性格と体型との関連を説明し、人のパーソナリティを類型的に把握屋した。

3 因子分析により、12〜16の根源的特性を抽出した。

4 類型論と特性論を統合的にとらえ、パーソナリティの階層モデルを提唱した。

5 日本の矢田部達郎らが作成した質問紙による性格検査のもととなる人格のモデルを作成した。

 

ア:Kretschmer, E. イ:Guilford, J. P.

ウ:Allport, G. W. エ:Kraepelin, E.

オ:Cattell, R. B. カ:Jung, C. G.

キ:Eysenck, H. J. ク:Adler, A.

愛知淑徳大学大学院 心理医療科学研究科 心理医療科学専攻 臨床心理学専攻コース)

 

[5]

性格に関する特性理論では、P,CostaとR, McCraeが(1)と呼ばれるモデルを提唱した。これらの中には神経症傾向(Neuroticism)、外向性(Extraversion)、開放性(Openness)、調和性(Agreeableness)、誠実性(Conscientious -ness)が含まれている。

東京成徳大学大学院 心理学研究科 臨床心理学専攻)

 

[6]

性格の特性論についての記述として、最も適切なものを一つ選びなさい。

1. ユングクレッチマーによる性格の理論は、特性論である。

2. 特性論は、性格を質的にいくつかのタイプに分けてとらえる。

3. 特性論は、性格の変化を捉えやすい。

4. 特性論では、性格のプロフィールを数量的に描く。

5. 特性論は、性格の生物学的基盤を前提としている。

帝京平成大学大学院 臨床心理研究科 臨床心理学専攻)

 

[7]

性格に関する理論について、ビッグ・ファイブに含まれる特性として誤っているものを選びなさい。

1.神経症傾向 2.外向性

3.精神病傾向 4.誠実性

5.調和性

淑徳大学大学院 総合福祉研究科 心理学専攻)

 

[8]

パーソナリティにおける類型論と特性論のそれぞれの特徴と相違について説明しなさい。

桜美林大学大学院 心理学研究科 臨床心理学専攻)

 

[9]

パーソナリティの分野における「ビッグ・ファイブ」とはどのような背景から見出されたのか、またその5つとはどのようなものか説明しなさい。

名古屋市立大学大学院 人間文化研究科 人間文化専攻)

 

[10]

人のパーソナリティを全般的に理解、把握する考え方は、大まかにいうと2種類に分けられる。それぞれの考え方について具体的に説明し、それぞれの長所と短所を述べよ。

名古屋市立大学大学院 人間文化研究科 人間文化専攻)

 

[11]

下記の用語について簡潔に説明しなさい。

・人格の特性論

静岡大学大学院 人文社会科学研究科 臨床人間科学専攻)

 

[12]

パーソナリティの特性に根源特性と表面特性とを仮定し、根源特性として16因子を見出した心理学者は誰か。正しいものを1つ選べ。
① C.R.Cloninger
② G.A.Kelly
③ H.J.Eysenck
④ J.P.Guilford
⑤ R.B.Cattell

公認心理師試験 第1回 問9)

 

 解答 

[1]

1、クレッチマー 2、細身

3、肥満 4、発病前

5、気質

 

[2]

1、外向 2、内向

3、感覚 4、直感

 

[3]

1、感情 2、直感

3、相補性

 

[4]

1、カ 2、ア 3、オ

4、キ 5、イ

 

[5]

特性5因子モデル

 

[6]

 

[7]

 

[8]

類型論とは、人の性格をある基準に基づいて比較的少数の典型に分類して理解する方法である。ユングの類型論や、クレッチマーの体型による類型論などがその例として挙げられる。長所としては直感的に理解しやすい点があげられるが、各個人における細かい特徴や程度の差異が見失われがちになる。一方、特性論とは、性格を特性のあつまりとして考え、それらの特性の程度の差が個人の性格の違いになると考えるものである。特性論では因子分析を元に、性格はいくつの特性から構成されるかという点に焦点が当てられてきた。特性論ではビッグ・ファイブが有名である。質問紙などを使って、特性を量的に扱うため、個人間での数量的比較が可能であるという長所があるが、個人の全体像が把握しにくいという欠点がある。

 

[9]

パーソナリティ理論には類型論と特性論があるが、「ビッグ・ファイブ」は特性論が理論的背景となっている。ゴールドバーグがこれまでのパーソナリティ理論をまとめて成立したものである。ビッグファイブの中には神経症傾向、外向性、開放性、調和性、誠実性が含まれる。

 

[10]

類型論とは、人の性格をある基準に基づいて比較的少数の典型に分類して理解する方法である。ユングの類型論や、クレッチマーの体型による類型論などがその例として挙げられる。長所としては直感的に理解しやすい点があげられるが、各個人における細かい特徴や程度の差異が見失われがちになる。一方、特性論とは、性格を特性のあつまりとして考え、それらの特性の程度の差が個人の性格の違いになると考えるものである。特性論では因子分析を元に、性格はいくつの特性から構成されるかという点に焦点が当てられてきた。特性論ではビッグ・ファイブが有名である。質問紙などを使って、特性を量的に扱うため、個人間での数量的比較が可能であるという長所があるが、個人の全体像が把握しにくいという欠点がある。

 

 [11]

一定の行動傾向のことを特性と言い、特性の量的な差異によって性格を記述する考え方を特性論という。オルポート(AIlport, G.W.)は、辞書から人の性格に関する語を取り出し、それらを分析して人間の性格に2つの特性(個人特性、共通特性)があることを見出した。キャッテル(Cattell, R.B.)は性格特性をその個人に特有な独自特性と、すべての人が程度の差はあれ共有する共通特性に分けた。人間の性格は16の特性で説明できるとしている。 類型説が主としてドイツで発達したのに対して、これはアメリカやイギリスで唱えられた。イギリスのアイゼンク(Eysenck, H.J) は、個別的反応から、習慣的反応の水準を経て、特性の水準に至り、最後に類型の水準に達するという、性格の4層構造でできていると唱えた。

 

[12]

5

 

① C.R.Cloningerは、気質性格検査(TCI:Temperament and Character Inventory)を開発した。

② G.A.Kellyは、パーソナル・コンストラクト理論を提唱した。これは、心のメガネ(コンストラクト)を通して、人は環境や物事を捉え、人のコンストラクトを把握することで、個々のパーソナリティを理解できるという考え方。

③ アイゼンク(Eysenck, H.J) は、個別的反応から、習慣的反応の水準を経て、特性の水準に至り、最後に類型の水準に達するという、性格の4層構造でできていると唱えた。また、モーズレイ性格検査(MPI:Maudsley Personality Inventory)を開発した。

④ J.P.Guilfordは、ギルフォード性格検査を考案。日本では、その検査をモデルに、YG性格検査が作られた。また、知能の「操作」のカテゴリーに属するものとして、収束的思考と拡散的思考があると提唱した。