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説得(persuasion)

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ポイント

 

説得(persuasion)

他者の認知や行動をある特定の方向に導くことを目的としたコミュニケーション。

 

送り手の要因

メッセージを扱う内容に関して専門的な知識を持っているという専門性や正確にメッセージを伝えようとしている信頼性を受け手が認知した場合、説得効果は高くなる。

 

スリーパー効果(sleeper effect)

信憑性の低い送り手からのメッセージであっても、メッセージを受け取ってから時間が経過すると、メッセージ内容の方向に説得されること。

カール・ホブランド(Carl Iver Hovland)が、スリーパー効果を最初に報告した。

 

 

メッセージの要因

ある種の不安や恐怖を喚起するメッセージは説得効果があると言われている。ただし、あまりにも恐怖アピールが強すぎると逆に説得効果は低くなることが実験によって示されており、中程度の恐怖アピールが効果的だと言われている。

 

ブーメラン効果

説得したい方向とは逆の方向の意見を受け手が抱くこと。自由が制限されるような状況において生じるといわれている。

cf.

心理的リアクタンスは、自分の選択的自由が外部から脅かされた時に生じる、自由を回復しようとする反発作用のことである。

 

 

精織化見込みモデル(Elaboration Likelihood Model:ELM)

複数の説得過程を仮定するモデルに、ベディ(Petty, R. E.)とカシオッポ(Cacioppo,J.)によって提唱された精織化見込みモデル(Elaboration Likelihood Model:ELM)がある。これは、態度変化に至るルートには中心ルートと周辺ルートがあり、受け手の状況によってどちらのルートを取るかは異なるとしている。

中心ルートは、説得内容そのものについて詳細に吟味した上で対応すること。もともとその説得内容についての知識や動機づけがあるときに中心ルートを取りやすい。

周辺ルートは、説得内容以外の情報(CMに起用されているタレント、イメージなど)に基づいて対応すること。その説得内容についての知識がなく、動機付けが低い場合に周辺ルートをとりやすい。

 

 

フットインザドア技法・段階的要請法(foot-in-the-door)

 

受容されやすい小さい要請をまず承諾させ、段階的に大きな要請も承諾させていく方法。相手の態度変容を促すのに有効とされる説得の仕方の一つ。(チャルディーニ,1988)

 

効果を示す実験 

 

 カリフォルニアに住む人たちを対象に「安全運転をしよう」 と書かれた大きな看板を家の庭先に立ててもらうという依頼を行うものであったが、看板を立てることによって家の景観は台無しになってしまうものであった。一つの方法は「フット·イン·ザ·ドア」技法を使ったものであり, 最初は車か家の窓に「安全運転」と書かれたステッカーを貼ってくれるよう依頼する。その後 (2週間後),家の庭先に看板を立てる依頼を行うものであった。もう一つの方法は,単に庭先に看板を立ててもらう依頼だけをするものであった。その結果,庭先に看板を立てることに応じた人の割合は,「フット イン·ザ· ドア」技法を使用した場合のほうがはるかに多かったのである。(フリードマンとフレーザー,1966)

 

 

 

ドアインザフェイス(譲歩誘導法)

最初に誰もが拒否する大きな要請をし、これに応じるのを拒否された後で、それに比較すると小さな要請(目的の要請)をすることで、目的の要請の承諾率を高めるテクニック。

 

ローボールテクニック(承諾先取り法)

最初によい条件をつけて承諾させた後に、そのよい条件を取り除いて再度承諾の確認をすると、相手は承諾を撤回せずそのまま承諾する傾向がある。

 

 

 

確認問題

[1]

説得研究におけるスリーパー効果について説明しなさい。

名古屋市立大学大学院 人間文化研究科 人間文化専攻)

 

[2]

Hovlandは、説得における送り手の信逐性の効果が4週間後に消失したことを受けこれを(1)と名づけた。 

名古屋市立大学大学院 人間文化研究科 人間文化専攻)

 

[3]

ひとくちに「説得」と言っても、説得されるに至る過程は一ではない。複数の説得過程を仮定するモデルを一つ取り上げ、その概要について論じなさい。

名古屋市立大学大学院 人間文化研究科 人間文化専攻)

 

[4]

下記の用語について簡単に説明しなさい。

・boomerang effect

静岡大学大学院 人文社会科学研究科 臨床人間科学専攻)

 

[5]

要請技法における「ローボール・テクニック」について、「コミットメント」語を用いつつ説明しなさい。

名古屋市立大学大学院 人間文化研究科 人間文化専攻)

 

 

 

解答

[1]

信頼性が低い情報源から得られた情報であっても、時間の経過とともに信頼性の低さがもたらすマイナスの効果が消え、コミュニケーション効果(意見変容、態度変容など)が時間の経過とともに大きくなる現象をいう。

 

[2]

1、スリーパー効果

 

[3]

複数の説得過程を仮定するモデルに、ベディ(Petty, R. E.)とカシオッポ(Cacioppo,J.)によって提唱された精織化見込みモデル(Elaboration Likelihood Model:ELM)がある。これは、態度変化に至るルートには中心ルートと周辺ルートがあり、受け手の状況によってどちらのルートを取るかは異なるとしている。中心ルートは、説得内容そのものについて詳細に吟味した上で対応すること。もともとその説得内容についての知識や動機づけがあるときに中心ルートを取りやすい。周辺ルートは、説得内容以外の情報(CMに起用されているタレント、イメージなど)に基づいて対応すること。その説得内容についての知識がなく、動機付けが低い場合に周辺ルートをとりやすい。

 

[4]

説得したい方向とは逆の方向の意見を受け手が抱くこと。自由が制限されるような状況において生じるといわれている。

 

[5]

ローボール・テクニックは、承諾先取り方とも言われる。最初に良い条件でコミットメントをとった後、その良い条件を取り除いて再度コミットメントの確認をすると、相手はコミットメントを撤回せずにそのまま承諾する傾向がある。