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森田正馬(Morita, M) / 森田療法(Morita therapy)

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ポイント

 

 

創始者森田正馬森田療法の対象になるのは森田神経質と呼ばれるものであり、対人恐怖症、不安神経症、強迫性神経症、パニック障害などが含まれる。

入院治療は、4期からなる。第1期は絶対臥褥期で、4日から1週間、患者を個室に隔離し、食事・排便以外は何もせず、徹底的に横になっていることを命ぜられる。横になっているときに浮かんでくる様々な考えや感情をあるがままに受け入れることが求められる。第2期は1~2週間の軽作業期である。昼間は必ず戸外に出て空気と日光に触れる。第3期は1週間程度の重作業期で、庭造り、大工仕事、手芸だどのやや重い作業を行う。第4期は社会復帰期である。1~2週間の生活訓練が行われる。

森田療法では、患者の訴える不安を「あるがまま」に受け入れ、できることを気分にかかわらずこなしていくことを促す。もともとは入院療法であったが現在では日記指導による外来森田療法自助グループなどを組み合わせて実施している。  

 

森田療法は、森田神経症と呼ばれる、自己内省的、理知的、ヒポコンドリー的な素質をもち、その上で、あるきっかけから病的状態が起こる一群に効果があるとされた。森田正馬は、「病(神経質)=素質(ヒポコンドリー性基調)×機会×病因(精神交互作用)」と考え、森田は、神経症に陥りやすい先天的な素質に着目し、ヒポコンドリー性基調と呼んだ。ヒポコンドリー性基調は、いたずらに病苦を気にする精神的基調のことである。ヒポコンドリー基調には自己内省が強く完全欲が旺盛で、自覚的には自己不全感に悩む傾向がある。また、より良く生きたいとう「生の欲望(向上・発展しようとする欲望)」が強ければ強いほど、より良く生きられなかったらどうしようという不安が強くなっていく。

 

その後の慈恵医大の治療者は、「森田神経質の発症機制=素質(神経質性格)×病因(精神交互作用)×病因(思想の矛盾)」と表現している。つまり、病的な状態を呈している「とらわれ」の状態は、素質があり、精神交互性思考の矛盾からなるとした。神経質性格は、弱力性(内向性・心配性・過敏症・心気症・受動的 )と強力性(完全欲・優越欲求・自尊欲求・健康欲求・支配欲求)を合わせ持つ性格である。また、精神交互作用は、ある「感覚」に対する「注意」が強くなるとその「感覚」が強くなり、「感覚」が強くなるとさらにまた「注意」が強くなることで、注意と感覚の悪循環のことである。さらに、思想の矛盾は、かくあるべしと思う「思想」とそうではない「事実」が反対になり矛盾することで、理想の自分と現実の自分のギャップである。

 

森田は、神経質症になりやすい人とそうでない人との相違点として、素質としての「過敏性」と、不快気分や病気、死などについて気に病んで取り越し苦労をする精神傾向としての「ヒポコンドリー性基調」をあげている。

森田療法では気分が良い悪いで物事を判断する気分本位の生き方から、不安、苦痛をあるがままにし、自分の務めを果たしたかどうかという目的本位の姿勢を身につけることを目指している。

 

 

確認問題

[1]

森田は、神経症に陥りやすい要因として先天的な素質に着目し、(1)と呼んだ。また神経症の病理を「とらわれ」として理解し、それは(2)と(3)からなるとした。

(法政大学大学院 人間社会研究科 臨床心理学専攻)

 

[2]

下記の用語について簡潔に説明しなさい。

・ヒポコンドリー性基調

静岡大学大学院 人文社会科学研究科 臨床人間科学専攻)

 

[3]

森田療法について、正しいものを1つ選べ。
① 「精神相互作用」の過程を重視する。
② 創始時に多く適用された対象は、統合失調症であった。
③ あるがままに受け入れるアプローチは、「身調べ」に由来する。
④ 原法の絶対臥褥(がじょく)期では、読書は行ってもよいとされる。
⑤ 「ヒポコンドリー性基調」とは、注意が外界に向けられた他者に敏感である状態をいう。

公認心理師試験 第1回 問4)

 

解答

[1]

1、ヒポコンドリー性基調

2、精神交互性

3、思考の矛盾

 

[2]

ヒポコンドリー性基調は、いたずらに病苦を気にする精神的基調のことで、森田正馬が着目した、神経症に陥りやすい先天的な素質である。森田は、森田療法の対象となる森田神経症の素質の一つであるとした。

 

[3]

1

 

② ×統合失調症神経症
③ 「身調べ」は吉本伊信の提唱した内観療法が基礎としているものである。
④ 絶対臥褥期は、食事・洗面・トイレ以外の一切を行わない。
⑤ ×外界→内界  ×他者に敏感→自身の不調や不快